トップインタビュー

データ保護のニーズはBCPからクラウド移行に--FalconStor クインCEO - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-07-17 12:48

――バックアップの際に問題になることは何か。

 可用性と時間、品質、コストといった問題があります。安全なバックアップの可用性を実現するには、フェイルオーバーなしで常にオン、常に稼働している状態でなければいけないことです。

 時間とコストは言葉通りですが、品質面では、バックアップの際に重複排除(デデュプリケーション)機能によりストレージを最適化し、バックアップの質を上げていくなどのニーズがあります。

――バックアップサービスの差別化ポイントとは何か。

 われわれの場合、顧客が持つさまざまな種類に対応できることです。物理、仮想ストレージともフラッシュやディスク、テープなど、さまざまなタイプのストレージがあります。(データ移行後の)パフォーマンスの向上というメリットもあります。コストパフォーマンスなども理由になっています。

 われわれのサービスには「アブストラクションレイヤ」という抽象化層があり、そこに独自の仮想化ソフト「IPStor」のエンジンが入っています。これによりデータの移行を飛躍的に容易にしています。

 アブストラクションレイヤによって、その上で動作するシステムと、その下にあるハードウェアを分離できるため、システムやハードウェアを選びません。これによりストレージ事業者が混在している状態でも、コストを下げてサービスレベルを上げることが可能なのです。

 われわれの場合はバックアップだけでなく、ストレージの仮想化製品や技術がコアにあります。そのため、固定の事業者にロックインされないといった柔軟性も含めて、一気通貫で提供できる点を強みにしています。

 また、例えばSAPなどエンタープライズ系アプリケーションを使っている顧客のシステムをプライベートクラウドへ移動する場合、数テラバイトから十数テラバイトのデータを移動しなければなりません。移動が終わらないとシステムの切り替えができませんから、データ移行に数時間、数日かかるようではグローバル企業として致命的です。

 われわれならばデータをきちんと効率よく飛ばしておいて、システムを動かしながら正しく動くかどうかのテストを実施できます。テストした上で、1日だけシステムを止めて切り替えを完了するわけです。こういった、ダウンタイムを短くしたいというニーズが非常に増えています。

――FalconStor自身ではどのようにバックアップシステムを構築しているのか。

 FalconStorの内部では、高速システム復旧ソフト「FalconStor CDP」を使っています。これはスナップショットのバックアップ、リカバリのサービスです。社内ではOffice 365やSalesforce、NetSuiteなど複数のクラウドアプリケーションを 使っています。顧客管理、顧客のトラッキングなどは自社システムをクラウドで回しています。顧客情報については、FalconStor CDPを使い別の地域でバックアップを取っています。

 ソースコードについては、ニューヨーク、台湾でデデュプリケーションを取りながら常にバックアップをとり続けています。さらに、端末もFalconStor CDPで保護しています。日本のものは、国内で即時復旧できる環境を作った上で、さらに台湾に飛ばしてデータをすぐに復旧ようにしています。各国の拠点が位置的に離れているため、2カ所用意しているわけです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]