Appleが先頃の「Worldwide Developers Conference」(WWDC)で発表した「iOS 8」は、消費者レベルでユーザーに影響を与えるだけでなく、法人分野にも波紋を広げている。なぜなら、これまでで最も多くのエンタープライズ機能が搭載されているからだ。拡大するBYODの動きに合わせて、iOS 8は、アプリケーション開発時に開発者を引きつける多様なフレームワークおよびキットを新たに追加している。さらに、Appleは「カメラ」や「Touch ID」などのAPIへのアクセスを追加するなど、複数の中核テクノロジについて、サードパーティー開発者が使用することを認めている。
それでは、iOS 8に新たに追加された10のエンタープライズ向け機能を詳しく見ていこう。
1. AirDrop
「AirDrop」は見過ごされがちだが、素晴らしいソフトウェアである。近くにある2台のデバイス間でWi-FiまたはBluetooth経由のファイル転送を可能にするAirDropは、電子メールやSMSを利用できないとき、非常に重宝する。今回、次期「Mac OS X 10.10」(開発コード名:「Yosemite」)を搭載するAppleコンピュータとの間でドキュメントを共有できる機能が追加された。
2. メッセージ
iOS 8では、グループへの個々のユーザーの追加および削除機能や、スレッドにタイトルを付け、それに従って会話を分類できる機能を含むグループメッセージング向けのさまざまな機能、複数のアプリを何度も切り替えることなく、「メッセージ」アプリから直接写真や動画、音声メッセージを送信できる機能などが追加されており、機能性がさらに向上している。さらに、特定の会話の中で共有されてきたすべてのメディアコンテンツのサムネイルを表示させたり、これから会う同僚にGPS位置情報データを送信したりといった気の利いた機能も、1つのボタンをタッチするだけで実行できる。
3. iCloud Drive
「iCloud」は、サポートされるドキュメントも限られているため、ファーストパーティーのAppleアプリケーションしかこの機能を最大限に活用することができなかった。真のファイルマネージャが提供されているわけではないので、ドキュメントは、それを作成したアプリから直接アクセスするしかない。このたび、iCloudの「Documents & Data」が刷新され、DropboxやMicrosoftの「OneDrive」サービスといった、ほかのクラウドベースのソリューションにより近づいた。「iCloud Drive」では、あらゆるOS X 10.10、「Windows 7」以降の「Windows」、およびiOS 8デバイスから、あらゆるドキュメントの保存と取得、編集を行うことができる。ファイル構造の実装により、ドキュメントを個々のファイルとして保存したり、アプリケーション別にフォルダに分類したりできるようになる。
4. Handoff
「OS X」から直接電話を受発信できればいいのに、と思ったことはないだろうか。筆者は、この機能が実装されていたら有効に活用できたのに、と思ったことが過去に何度もあった。ありがたいことに、iOS 8デバイスとOS X 10.10を搭載するAppleコンピュータをペアリングすることで、この機能を実現できるようになる。Appleにとって、こうしたあらゆるデバイス間の連携は、開発者がこの機能のサポートを追加してくれさえすれば、「Safari」や「メール」「Numbers」といった対応アプリケーションにも広がる、という利点もある。例えば、この記事をノートPCで途中まで読み進めた後、「iPad」で続きを読む、といったことも可能になる。