IT歴史上最も破壊的なもの
スマートマシンの登場は、ITのこれまでの歴史、社会においても大きなインパクトをもたらす可能性がある。
Gartnerの「2014年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」では、
スマートマシンの時代は、ITの歴史において最も破壊的なものになる
と指摘しているように、スマートマシンの時代が進展する2020年は、ITの歴史においても大きな節目となるだろう。
また、書籍「機械との競争」では、
今日、経済のあらゆる部門は技術による置き換えに直面しており、数百 万単位の労働者が不要になっている。これに対処することが「今世紀における最も急 を要する社会的問題」
と、生産性が伸びても雇用が伸びない「グレートデカップリング」の状態に陥るとともに、機械のテクノロジの進展により、これまでの人間の仕事の置き換えが進みつつあり、これらに対処していくことが「今世紀における最も急を要する社会的課題」と指摘している。
進む労働者の置き換え
機械による労働者の置き換えは、5~10年後の未来の話ではなく、すでに「起こった未来」の話だ。
世界の工場と言われている中国においても経済成長により工場労働者の賃金が上昇傾向にあり、一部で産業ロボットへの置き換えも進んでいる。
従業員数120万人で、iPhoneなどのApple製品などの電気機器を製造するEMS(電子機器受託生産)の世界最大手の台湾の鴻海精密工業(Foxconn)は、2013年7月、3年以内に100万台の産業ロボットを溶接、組立、運搬、塗装、検査測定などの生産ラインに導入し、50万人の労働者をロボットに置き換え、確実性と生産効率を大幅に高めていく計画を発表している。
また米Amazonは、2012年にロボットの開発会社のKiva Systemsを7億7500万ドルで買収し、配送センターで自動的に、箱詰め作業員のところに製品を運んでくるロボットを、これまでの1000台から1万台に増やすことを明らかにしている。
配送センターでは、これまで、作業員が倉庫内を忙しく歩き回り、商品を集めるのが一般的だったが、Kiva Systemsの配送ロボットの採用により、従来の2~4倍にも作業効率が上がるとしている。
Amazonでは雇用解雇は予定していないとしているものの、新規雇用は抑えられる可能性がある。企業の業績が伸びても技術が加速度的に進歩し、ロボットの導入などの機械化などによる雇用創出は生まれにくい状況となっていく状況が予想される。