また、若年層へのスマートフォンの普及は著しく、高校生では70%弱となっている。保護者の家庭での指導も増えているが、保護者自体が子供の持つ情報通信機器のインターネット接続機能について認知していないなどの問題もある。また、ソーシャルゲームやチャットなどの新しく普及したサービスでの啓蒙活動もある。
情報セキュリティについては、前年に引き続き標的型メールや不正ログインなどの情報窃取型の攻撃が「2014年のセキュリティ10大脅威」に多く挙げられている。また、インターネットバンキングでの不正送金も2013年6月から急増している。しかし、アカウントやパスワードの変更や、スマートフォンへのセキュリティ対策についての意識は、日本では低い傾向にある。
「2014年のセキュリティ10大脅威」出典:「平成26年版情報通信白書」(総務省)原出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「2014年 情報セキュリティ10大脅威」を基に総務省作成
まとめ:グローバルであることが前提になりつつあるICT
ここでは、総務省「情報通信白書」の特集の全体を紹介した。全体的な印象としては地球規模に広がりつつあるICTと、国内のICTの現状が似通っていることが挙げられる。従来は先進国と途上国では使われるICTに違いが見られたが、近年では同じテクノロジやサービスが導入され、それぞれの地域の事情に応じた課題解決に貢献しているという現状を確認できた。
例えば、オープンデータは既に国際的な取り組みであり、世界中の政府がデータの公開を始めている。また、農業におけるICTの活用でも先進事例は国内と海外で変わらず、新たに登場した大学教育の形であるMOOCsでは、当初から世界中の人々が同じプラットフォームで学んでいる。
このため、国内でICT産業を展開するとしても、グローバルに打って出るにしても、恐らくキーポイントは変わらなくなりつつあるのだろう。日本は「課題先進国」と呼ばれているが、課題を発見してICTで適切な解を与えていくことが、国内でも海外でも重要になるだろう。
- 田島逸郎
- いくつかのスタートアップに関与しながら、スマートフォン情勢に関心を持ち、個人的に調査、記事の執筆などを行っていた。現在は地理空間情報系のスタートアップで、主にGISやオープンデータなどに携わる。