全日空(ANA)は、同社の国内路線の乗客を対象とした新たなメール配信システムを構築、運用開始した。運航の遅延や欠航などの突発的な変更が発生した際のメール配信先を、これまで提供してきた搭乗手続きを済ませた顧客から予約保持顧客まで拡大するとともに、特別な案内を必要とする顧客に対しメールで通知できるという。日本オラクルが10月9日に発表した。
ANAでは、航空業界の競争激化に加え、電子チケットによる空港での搭乗手続削減などで利用者と係員の接点が少なくなってきたことから、搭乗便の状況をよりタイムリーに直接伝えられるメール配信システム基盤の強化を決定した。新システムの基盤としては、データベース専用機「Oracle Exadata Database Machine」と、リアルタイムデータ統合ソフトウェア「Oracle GoldenGate」が採用された。
メール配信システムが扱う大量の顧客データから配信対象の絞り込みを短時間で完了でき、システム強化に伴う基幹業務系システムへの影響を極小化、予約の処理量が増大する繁忙期や突発的な事象が発生した際、一時的に増大するデータの処理性能を確保できるシステムを構築するため、この組み合わせが選ばれたという。選定段階の事前検証では、Exadataで想定負荷に対して十分以上の処理性能が得られることが確認され、GoldenGateでミリ秒単位でのリアルタイムのデータ連携が可能となる点が評価された。
ANAは当初13カ月の開発期間を想定していた。ソフトウェアとハードウェアが最適に事前統合されたとする“エンジニアドシステム”のメリット、新たにアプリケーションを開発することなくデータ連携が実現できる機能などで開発期間を8カ月に短縮できたという。
導入後は、想定していたメール配信準備の作業を短縮し、遅延や欠航などの突発的な変更が発生した際にも、搭乗予定の顧客に対しメールを配信できるようになったと説明。繁忙期や割引キャンペーンの時期などピーク時でも、基幹システムに影響を及ぼすことなく問題なく動作していると説明している。