全日本空輸(ANA)はグループの全世界の拠点や空港内オフィス、拠点外から利用する音声基盤を2014年からクラウド型のコミュニケーションサービス「Arcstar UCaaS」に構築する。NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が12月11日に発表した。
ANAグループはパイロットや客室乗務員、各国の空港で業務する地上勤務職員や整備士などを含む約3万3000人の従業員を抱える。さまざまな環境で働く従業員の働き方の向上を目指して「働き方改革」を進めている。利便性の向上とコストの削減を両立させ、働き方改革を実現するための基盤としてArcstar UCaaSの採用を決めた。
Arcstar UCaaSは、NTT Comが提供するネットワークサービス「Arcstar Universal One」をベースにユニファイドコミュニケーション(UC)をSaaS型で提供する。メッセージング機能のほかに、通信相手の所在や状況をあらかじめ確認できるプレゼンス機能、音声や映像といった会議機能、私物端末を業務で利用できるBYOD対応機能なども提供される。
ANAグループは、Arcstar UCaaSを利用することで、IP電話機やスマートフォンなどの端末から接続できようにして、内線・外線接続環境機能を利用する。こうした状況は、無線と有線を問わず使える通信サービス環境(Fixed Mobile Convergence:FMC)といわれている。これまで拠点ごとに保有していた宅内交換機(PBX)の機能はArcstar UCaaSに転換し、約7000台の固定電話端末はIP電話にしていき、約1万台のモバイル端末も内線接続する予定となっている。
同社グループでは「Web電話帳」機能も利用する。端末側に連絡先情報や発着信情報を保存しないで、安全に閲覧、管理できるという。着信時には、連動する従業員録の発信元情報が端末上にポップアップで表示される。モバイル端末約1万台で利用できる予定となっている。
モバイル端末管理(MDM)機能も利用する。スマートフォンやタブレットの遠隔ロックやセキュリティポリシーの一元的な適用などで安全に端末利用ができるという。約1万台が対象という。
ANAの新音声基盤イメージ(NTT Com提供)