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データを整理し、システム基盤を標準化、シンプルにしていく--日産 行徳CIO - (page 3)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-12-11 07:00

--人材育成について注力していることは。

 新卒の場合は6カ月の教育をしますが、そのうちの2カ月はインドにあるキャピタルセンターでトレーニングコースを受けます。現地では英語しか通じませんし、生活することさえも大変ですが、たくましくなって帰ってきます。また、シリコンバレーでも教育や新しい技術の経験をさせています。その後に業務の研修があり、各部署に配属されます。

 日産のIT戦略パートナーのところへ3カ月ほど、本社の開発部隊などへ研修に行かせることもあります。Microsoft、SAP、Cisco、HPなどへの研修もあります。研修の結果、そのパートナー会社に最適な人材があれば、その会社に出向させることもあります。


分析して分かった電気自動車の乗り方

--ビッグデータの活用方法について。

 ビッグデータは基本的にプライベートクラウドで活用します。パブリッククラウドにはSNSなどで集めたビッグデータがありますが、それらはAPIがあるのでお金を払えばデータが取ることもできます。また、インターネット接続機能を持つコネクテッドカーへのデータ活用を考えています。

 基本的にはクラウドベースで情報を集めて、車からもクラウドベースでデータをコネクトします。これはスマートフォンと同じ考え方ですね。データをクラウドに送って、ビッグデータを分析するプラットフォームに集めて分析するわけです。

--電気自動車(EV)「リーフ」で集めたデータの分析で興味深いものは。

 もともとリーフのデータを集めた理由のひとつに電池があります。電池に問題があるのかどうかです。EVの電池は複数のセルで構成されていますが、モジュールに問題があった場合に、生産ロットまでさかのぼれる仕組みのためでした。それにより、問題のあった電池がどの車に積まれたかを、ドライバーが気づく前に把握して交換できます。

 もちろん、ユーザーと車の関係で、どこまでデータを分析するのかはドライバーに許可を得ています。ドライバーもメリットがないと許可してくれませんが、今後はたとえばデータを分析することで、ドライバーに合った(運転)アドバイスやチューニングができるようになる可能性があります。

 データの分析でわかったことでは、例えばノルウェーと札幌でのリーフの使い方の違いが明らかになりました。同じ電池を搭載しているのに、走行距離がノルウェーでは平均100km、日本は60kmだったのです。そこでデータを分析していったら、ノルウェーのドライバーは充電している間にプレヒーティング(暖房)しているのに対し、日本のドライバーは運転し始めてからヒーターを入れていることがわかったのです。

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