米Gartnerは、不十分なモバイル顧客サービスによって、企業の顧客エンゲージメント(結び付き)が損なわれているとの見解を発表した。企業にとって、質の高い顧客エンゲージメントをつくり出すことは最も重要な要素であり、ITリーダーはすべてのチャネルを通じて顧客とのエンゲージメントを革新するとともに、適切なプロジェクトを取捨選択するための基準を確立する必要があるという。
モバイル顧客サービスについて同社が示した予測の主なものは以下の通り。
・2017年まで顧客サービスのあらゆるやりとりの3分の1は、依然として人的な介入を必要とする
自動化とインテリジェンスエージェントによって、顧客サポートに人が介在する必要性は減少しつつあるが、2014年に幅広い業種ならびに世界全体を通じて、顧客サービスのやりとりにサポート担当者の物理的な支援が必要とされたケースは60%近くに上った。
センサ、仮想顧客アシスタント、高度な検索、キオスク、インラインビデオチャットなど増え続ける顧客サポートチャネルの選択肢やパーソナライズしたカスタマーエクスペリエンスを重視する環境によって、大部分の業種の企業は、高度な教育を受けた顧客サービスのプロフェッショナルを雇っておく必要に迫られるだろうとしている。
より進んだセルフサービス環境やコミュニティ、アラート、モバイル・デバイスなどによって、このような人的支援の必要性が今後24カ月でほぼ半減すると同社は予測する。
・2018年までに、顧客サービスへの問い合わせ件数の5%がインターネット接続デバイスによって始められる(2014年の0.02%から大幅に増加)
PC、タブレット端末、スマートフォンを除く、インターネット接続が可能な「モノ」の設置ベースは、2020年には260億台にまで増加し、この時点までに一軒の一般住宅の個人的な「モノのインターネット(IoT)」では、500を超えるスマート・オブジェクトが連携しているかもしれない。
モノ、場所、人、システムのつながりが急速に進むことで、稼働状況や状態、サービスレベル、その他多くの基準をモニタリングできるようになる。またモノの接続性、通信性、知性が高まることで、現在は人を通じてやりとりされているサービスの依頼とその提供を、これらのモノの多くが担うことが可能になってくる。
・2018年までに世界最大手企業500社のうち100社以上が、顧客とのコミュニケーションにビデオチャットを採用する。
急成長するモバイルデバイス、また市場競争における差別化要因としてカスタマーエクスペリエンスを提供することへの切迫感から、顧客とのコミュニケーションにおけるビデオ・チャットの利用は急速に革新のピークへと向かいつつある。
2015年に入り、ガートナーは、世界最大手企業500社のうち50社以上が、顧客とのコミュニケーションにビデオチャットを採用し、その後3年間で倍増すると予測している。