PaaSのApcera取得、クラウドポートフォリオを構築するEricsson
「100年前に工場を建てるのとそれほど変わっていない。コンピューティングが工場、データが倉庫とすれば、GoogleやFacebookのような企業は、スケールのために技術アプローチを完全に産業化しているに過ぎない」とHoffman氏は述べる。そして、Ericssonがビジネスとするモバイル通信網について、「Ericssonはネットワークを産業化している。これによりスケールを得ている」と続ける。
大きく分けるならクラウド戦略とは「ハードウェア戦略(1)、運用のためのオペレーティングシステム戦略(2)、そしてアクセス性とアジャイルを実現するためのプログラマブルなシステム(3)の3つに分かれる」とHoffman氏。Ericssonはすでに(1)、そしてOpenStackへのコミットやハイパーバイザーを通じて(2)を持っているとする。
Hoffman氏はクラウドを次のようにも形容する。「ネットワークが道路、コンピューティングが車とすれば、データが車に乗っている乗客や子ども。子どもを安全にし、楽しませるスペースを作ることが大切」とHoffmann氏。最も重要性が高いのはデータであり、Ericssonはこれまでのテレコムでは直接関係なかったデータセンター分野に参入すると続ける。
それにあたって、Hoffman氏の下でEricssonは急速にポートフォリオを立ち上げている。例えば2014年9月に過半数株式取得したApceraは、Hoffman氏がEricssonに移籍してから初の大型取引となった。
ApceraはオープンソースのPaaSベンダーで、ポリシーベースのDevOps、IT管理プラットフォーム「Continuum」などを提供する。Apceraの取得によりVMware、OpenStack、Windows Azure、Amazon Web Services、Googleなどで動くマルチクラウドマルチベンダー環境を強化する。
Hoffman氏がクラウド導入の最大の障害と認識するセキュリティについては、リアルタイムのサイバー攻撃、データ損失検出技術を持つGuardtimeと独占的提携を結んでいる。このように、数カ月かけて急ピッチでポートフォリオの組み立てを行っているという。
「他社のまねをしてあわてて作ったポートフォリオではない。顧客の問題を解決する顧客主導デザインで、特定のハードウェアと結びつくのではなく、中央であらゆるベンダーに対応する。これまでにない製品、体験、技術、アプローチだ」と説明する。例として、プログラマブル、アクセス性を前提としたセキュリティ製品を挙げる。「常に攻撃される可能性があり、どのように一貫性を保つかにフォーカスしている」とHoffman氏は説明する。