一連のAPIとして商品をコンセプト化することには、いくつかの潜在的利点がある。すなわち、システム実装の迅速化とコストの削減、俊敏な業務構造の実現、他社との差別化要件への注力だ。ただその一方で、新たなリスクも生み出される。
Dawson氏は「セキュリティという観点があるのは明らかだ。APIの設計を誤るとシステム内部へのアクセスを許してしまったり、マルウェアの標的になったりする」と述べるとともに「心配すべき確かな理由があるのだ」と述べた。
まるで1周して同じところに帰ってきたようだ。
われわれが「クラウド」という言葉を使い始める10〜20年前、それは単に「インターネット」という言葉で呼ばれていた。企業間におけるリアルタイムのデータ接続に関するあらゆる議論は、データ規格や相互運用性、信頼性、セキュリティに集約されていた。
その後、「クラウド」という言葉が生み出され、まるであらゆるものごとが解決できる魔法であるかのようにもてはやされた。
業務を支える基幹アプリケーションがAPIやウェブサービスのかたちでクラウドから調達されるケースが増えてきている現在、議論はデータ規格や相互運用性、信頼性、セキュリティに舞い戻ってきている。
Concur Technologies AustraliaのマネージングディレクターであるMatt Goss氏は、3月に開催されたTech Leaders Forumで記者たちに「われわれの顧客は6〜9カ月前と比べると明らかに知識を増やしている」と述べた。
同氏は「ビジネスコミュニティーはもはや、『それはクラウドで実現できる。問題ない』とは考えていない」と述べ、「彼らはSaaSベンダーに対して、コンプライアンス標準や、既存顧客、過去の運用状況、他のSaaSベンダーとの連携、モバイルユーザーに対するサポートの有無といった核心を突いた質問を投げかけるようになっている」と述べた。
Concur Technologiesの提供する出張・旅費管理ソフトウェアサービスは元々、「ミッションクリティカルなシステムの末端に位置していた」と述べるGoss氏は、「これは企業がクラウドに足を踏み入れるうえで最適な足がかりだった」と述べた。
そしてConcur Technologiesは今や、クラウドベースのERPベンダーであるNetSuiteのような他のベンダーと提携することで、企業の基幹システムと統合している。
Goss氏は「クラウドベースのシステムは企業のミッションクリティカルな部分に入り込んできている。われわれが注目されたり、興味を持たれたりするのは、この点が大きいとわたしは考えている」と述べ、「われわれはConcurを使用しているユーザー1人1人のことを考えており(中略)、また(クラウドベースのシステムは)基幹業務から離れたところではなく、より中核業務に近いところに位置するようになってきている点を指摘したい」と述べた。
そして、システムが中核業務に近づくには、信頼されている必要がある。