クラウド活用で次世代アプリケーションをシンプルに導入すべし:ハードCEO - (page 2)

三浦優子

2015-04-10 18:50

 「アプリケーションはすぐにプロビジョニングされ、2年間待つ必要はなくなる。アップグレードも自らではなく、他の人がやってくれるようになる。アップデートコストも低く抑えられるようになる。しかし、最大のメリットはイノベーションが進み、シンプルなアプリケーションの世界を実現することができることだろう」

 そして、「このダイナミクスを信じない人もいるが、これは本当のことであり、世界に影響を及ぼす大きな変化だ」と話して、自身のスピーチを締めくくった。

ソフトバンクモバイルのリアルタイムシステム

 Hurd氏の次にソフトバンクモバイル代表取締役社長兼CEOである宮内謙氏が登壇。宮内氏は「われわれはICTカンパニーであり、ICTをフル活用することをこの15年間、徹底的にやってきた」とICTを販売するだけでなく、社内活用にも積極的に取り組んできたと強調した。

宮内謙氏
ソフトバンクモバイル 代表取締役社長兼CEO 宮内謙氏

 「この場がオラクルさんのイベントだからではなく、当社では仮想化でExadata22台、Database Appliance54台にサーバを集約したことで、コストを70%削減した。ソフトバンクIT部門の開発案件は22倍とExadataに基幹システムを刷新後に急増している」

 開発のリードタイムも小規模開発の場合は92%、大規模開発の場合は96%と大きく短縮されたという。その一つが店舗のシステムを全てiPad上に載せることで接客ツールや電子申込書、リアルタイム実績がiPadから作業できるようになった。

 この結果、「われわれは恐怖と勝負しながらビジネスを進めている。どれだけスムーズに営業が進むのかは重要な要素で、キャンペーンを行う時には瞬時にシステムは変更されなければならない。手作業ではこの実現が難しい」と競合に比べ、迅速に新しい施策を打てる環境が整ったと意義を解説している。

 社内システムについても、「社内から『うちの会社はIT企業なのに、社内システムが使いにくい』という声があがっていた。そこで社内に笑顔ができるようなシステムということで“Smile”というシステムを作り、決済承認、通達、交通費精算、出張申請といったことを実現し、決済までのリードタイムを60%削減した」と新しいシステムで実務にかかるスピードを上げた。

 そしてこれらを支えるリアルタイムコンピューティングプラットフォームがChronos Coreだ。Exadataとインメモリデータグリッド「Oracle Coherence」をベースに業務システム、実績分析などを搭載する。

 「構造化データはもちろん、非構造化データも全てのデータがここに入る。今後はこうしたデータをもとに、どれだけリアルタイムにディシジョンができるか」と企業戦略の武器として活用する方針だ。

 ソフトバンクモバイルにとって欠かせないルーチン業務である課金、請求についても、「以前は5時間かかっていたものが0.6秒と大幅に短縮することに成功した」と実務へのプラス効果も出ているという。

 さらに宮内氏は「ご存知の通り、米国でSprintを買収したが、キャリアの社内システムはどこもレガシーでパフォーマンスが悪い。これをわれわれのChronos Coreとすることで、パフォーマンスが大幅にアップする。導入もクラウドで容易だ」と米国での事業展開を向上させる鍵となる可能性があることも示唆した。

(左から)Hurd氏、宮内氏、日本オラクル取締役代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏
(左から)Hurd氏、宮内氏、日本オラクル取締役代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏

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