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情報通信技術の新たな使い方

従来型携帯端末の生産終了に関する報道とノキアによるアルカテル・ルーセントの買収

菊地泰敏(ローランド・ベルガー)

2015-05-01 07:00

 情報通信技術の新たな使い方と題して連載してきたが、第4回である今回は、少しだけ脱線することをお許しいただきたい。

 普段、情報通信産業の戦略コンサルティングを行っている身として、どうしても気になることがあり、今回はこれについて考えてみたいのである。根を同じくすると思われる2つの話題が同時期に注目を浴びたのは、決して偶然ではないと感じるからだ。

 1つ目は、従来型携帯端末の携帯事業の生産終了に関する報道、そして2つ目はNokiaによるアルカテル・ルーセントの買収である。

 まず1つ目の話題である。4月24日付けの日本経済新聞の一面トップに掲載されたため、記憶に残っている読者の方も多いのではないだろうか。また、この報道を受け、多くのネット系メディアもこの話題を取り上げた。

 日経一面の概要は、日本の携帯端末メーカー各社が、いわゆる「ガラケー」の生産を2017年以降に中止するというものである。しかしながら、同紙の三面では「日本の携帯の事業モデルは終息する」と報じている。「生産中止」と「事業モデルの終息」は、同じ概念ではない。

「事業モデル」とは何か。

 同紙によれば「端末とともにOSや半導体などを一体開発」することが事業モデルということである。「従来型携帯は通話やメールなどの機能に重点を置き、OSなどの基幹技術を端末メーカーと通信各社が共同開発してきた」ため、これが終わる、すなわち「独自OSの携帯機種の生産を中止する」ことが、事業モデルの終息、としている理由のようである。

 一方で、「折り畳み式やボタンが付いている形状は中高年を中心に根強い人気があるため、外見や操作性が従来風の端末の生産は続ける」とも報じられている。ついでに言うと、iモードなどの「ガラケー向けサービス」は継続されるということである。これは何を意味しているのであろうか。

 従来型携帯、すなわちガラケーとは、通信事業者と端末メーカーが共同開発したもので、OSは(Androidなどではなく)独自のものであり、併せて半導体の開発も行われてきたもの、ということらしい。そのため、概観や操作性が同じであっても、OSにAndroidが使われる端末はガラケーではない、ということなのだ。

 この報道に違和感を持った人が少なからずいたのではないかと思う。そしてその違和感の原泉は、ユーザーの視点が希薄だと感じることではなかろうか。

 ガラケーを愛用するユーザーは、何が理由でガラケーを愛用しているのか。なぜスマホではなくてガラケーなのか、という視点が重視されていない。だからこそ、OSや半導体の開発に視点が注がれており、「事業モデル」という提供者側の言葉遣いになるのだと思うのだ。

 これは日経新聞の報道がそうなっているということではなく、通信事業者や端末メーカーの視点がそうなっているからということなのだと思われる。

 ユーザーからすれば、OSや半導体にこだわりをもって端末を選ぶことはないのではないか。一番大切なのは、その操作性・操作感であり、また外観や画面の見た目である。そう考えると、「従来型携帯の生産終了」という表現は、必ずしも正しいとは思えない。

 前回の連載「通信のゆくえを追う」の 2013年7月の記事で考えてみたとおり、ユーザーを始点にした「ものの見方、考え方の欠如」がこのようなところにもにじみ出ていると言っては言いすぎだろうか。

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