日本IBMは5月19日、国内のベンチャー企業を支援するプログラム「IBM BlueHub」の第2期を開始したと発表した。同日よりプログラムへの募集を開始する。対象となるのは創業3年以内で、「IoT(モノのインターネット)」領域などで起業を目指す企業だ。
「IBM BlueHub」プログラムのエコシステム
IBM BlueHubは、日本IBMが2014年9月から開始したベンチャー企業の事業化を支援するプログラム。ベンチャー企業を対象に、開発者向けのクラウドサービス「IBM SoftLayer」(IaaS)や「IBM Bluemix」(PaaS)といった技術提供(6カ月間無償)をはじめ、コンサルティング、マーケティング、広報活動などに関する支援もする。
また、オフィスとして利用できるシェアード・スペースの提供や、ワークショップの共同開催、ベンチャーキャピタルの紹介など、「起業に必要なインフラを、ソフトとハードの面から支援する」(日本IBM)という。
日本IBM理事でマーケティング&コミュニケーションズ パフォーマンス・マーケティングを務めるCatherine Solazzo氏
日本IBM理事でマーケティング&コミュニケーションズ パフォーマンス・マーケティングを務めるCatherine Solazzo氏は、同プログラムの狙いについて「(IBMとの)将来的なパートナーシップ関係構築を期待している。同時に、SoftLayerやBluemixをユーザーとして利用してもらうことで、そのフィードバックも得たい」と語った。
第2期の支援パートナーには、第1期から参加しているサムライインキュベートやツクルバのほか、サイバーエージェント・クラウドファンディングも参加する。
また、経済産業省からも講師派遣や、選考などの過程を通じ、プロジェクトの支援を受ける予定があるという。経済産業省の支援についてSolazzo氏は、「政府の成長戦略や、経済政策との連携推進が可能になる」とコメントしている。
IoT領域での事業アイデアについて、サムライインキュベートで最高経営責任者(CEO)を務める榊原健太郎氏は「グローバルではセキュリティの分野でIoTを活用する動きがある。日本でのIoTはBtoCが多いが、BtoBでも活用できるアイデアが登場することを期待する」と語った。
サムライインキュベートでCEOを務める榊原健太郎氏
ちなみに、第1期のBlueHubは、ビッグデータ領域をテーマに実施された。選定に残ったのは、スポーツマネージメントアプリを提供する「Link Sports」、一般消費者向けの大規模ゲノム解析サービスを提供する「GeneQuest」、画像認識技術を用いたソーシャルメディア分析ツールで企業のマーケティング活動を支援する「Brand Pit」、リコメンド型農業向け基幹業務システム(ERP)により、データを活用した農業ビジネスを支援する「TERRACE MILE」、電波の届かない場所や状況でも現在位置が確認できるスマホ地図アプリを提供する「SEFURI」である。
なお、最優秀賞には「TERRACE MILE」が選ばれ、同日開催されたIBMのプライベートコンファレンス「IBM XCITE SPRING2015」の基調講演内で表彰された。
第1期のBlueHubで最優秀賞を獲得し、トロフィーを受け取る「TERRACE MILE」の代表取締役の生駒祐一氏(左)。「農業の未来を技術とデータで作っていきたい」とコメントした