本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、富士通の田中達也 執行役員副社長/次期代表取締役社長と、日本IBMの朝海孝 理事の発言を紹介する。
「私は富士通を、ICTによって人を幸せにする会社にしたい」 (富士通 田中達也 執行役員副社長/次期代表取締役社長)
富士通が先ごろ、東京・有楽町の東京国際フォーラムで「富士通フォーラム2015」を開催した。田中氏の冒頭の発言は、その基調講演の中で、6月に同社社長に就任することを踏まえて、これからの“富士通像”を語ったものである。
田中氏は基調講演の冒頭で、「私はこれから富士通の経営の舵取りを行う。この機会に、私が富士通をどのような会社にしていきたいと考えているかについてお話ししたい」と前置きし、次のように語った。
「ICTは空気や水、エネルギーなどと同様に、すでに人にとって欠かすことのできないものとなっている。だからこそ、私はICTベンダーである富士通を、人を幸せにする会社にしたいと考えている。人の笑顔や生き生きとした活動を、当社の製品やサービスがしっかりと支えていく。そんな将来像を描いている」
さらにこう続けた。
「人が幸せになるためには、人が集まる社会の機能を、人に優しく快適なものに変えていかなければならない。その社会システムをICTで支えるために、当社はこれまでの経験を生かして各種製品やサービスをはじめ、高度なインテグレーションやシステム運用ノウハウといったソリューションを全世界に向けて提供していきたい。グローバルなICT基盤やソリューション展開に向けた体制の整備も着々と進めており、さらに多くの有力なグローバルICTベンダーとのパートナーシップも拡充してきている。こうした総合力によって、あらゆるシーンで人を幸せにする。富士通のICTがそれを支えていると、多くの方々に認めていただけるように尽力していきたい」
田中氏が語った内容は、基本的に富士通がビジョンとして掲げている“Human Centric Innvation”に沿ったものだが、その冒頭で「私が富士通をどのような会社にしていきたいと考えているか」と切り出したところに、ビジョンの実現に向けてリーダーシップを発揮するという強い決意と覚悟を感じた。
富士通 執行役員副社長/次期代表取締役社長 田中達也氏