ドイツ発の次なる産業革命「インダストリー4.0」--その柱となるテクノロジ分野 - (page 2)

Joe McKendrick (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2015-05-28 06:30

 クラウド:無数のデバイスやセンサ、そしてそれらが生み出す大量のデータを支える必要があり、これにはリアルタイム性と規模性に優れたクラウドサービスが適している。多くの産業用モニタリングシステムや制御システム(ERPは言うに及ばず)は、すでにクラウドに移行しつつある。「クラウド技術の性能はさらに向上すると考えられ、応答時間はわずか数ミリ秒にまで短縮される」とBCGは予想する。

 ビッグデータ分析:製品の開発、製造、テストなどのあらゆる局面でデータを利用することによって、製造業に新たな次元がもたらされ、より的を絞ったイノベーション、マーケティング、意志決定が可能になる。

 シミュレーション:上記のビッグデータとクラウドの計算力による製品シナリオの仮想モデル化によって、より迅速なテストが可能になり、イノベーションも加速する。仮想世界では、失敗からの撤退も、素早く、非常に低コストに行える。

 付加製造技術(3Dプリティング):「Industry 4.0では、少量のカスタマイズされた製品の生産に、付加製造技術を用いた手法が広く使用されるようになる。付加製造技術には、複雑で軽量な設計が可能であるなどの、製造上の利点がある。高性能で分散的な付加製造システムが実現すれば、輸送距離と在庫を減らすことができる」とBCGは述べている。

 拡張現実:拡張現実は、すでに「Oculus Rift」やMicrosoftの「HoloLens」のような形で市場に出回っている。BCGは、そのようなシステムは、意志決定支援や生産性向上の面で重要な役割を担うと予想している。将来性のある応用分野を2つ挙げるとすれば、仮想訓練や作業中の情報支援だろう。BCGは「作業者は、実際に修理が必要なシステムを見ながら、特定のパーツを交換するための修理の指示を受けることができる。この情報は、拡張現実メガネなどのデバイスを使用して、作業者の視界に直接表示できる」と述べている。

 ロボット:現在製造業で使われているロボットの多くは、組み立てラインで使われる機械アームの形を取っているが、ロボットが賢くなるにつれ、決まり切った組み立て作業以上の、洗練された仕事もできるようになる。

 またBCGのレポートでは触れられていないが、いつ、どこででもコンピューティングを行うことを可能にするモバイルの成長は、台頭するIndustry 4.0のパラダイムの一部として同じように重要な要素だろう。スマートフォンからERPシステムを利用できることを考えれば、製造に関する作業もリモートから行える可能性がある。3Dプリントおよび付加製造によって、製造の現場が資源に近づき、国外に製造工程をアウトソースする必要がなくなれば、製品のデザインや製造の管理をモバイルデバイスから行うことさえ可能かもしれない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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