富士通は、すべての通信データを“フルワイヤキャプチャ”しながら、蓄積したデータから必要な情報を高速に検索するソフトウェア「FUJITSU Network Virtuora TC」の販売を6月9日から開始した。
フルワイヤキャプチャは、帯域を最大限に使用している環境下でネットワーク上の通信データを取りこぼすことなく捕捉し、メモリなどに保持する機能。広域ネットワークを流れる通信データは多様かつ複雑化しているが、蓄積した膨大なデータを完全に証跡管理するのに役立つという。
従来、広帯域のネットワークを流れる通信データをフルワイヤキャプチャするためには高価な専用機器が必要だった。同製品では、汎用サーバ上のソフトウェアで実現することで、ネットワーク品質管理システムなどの投資費用を削減できるとしている。
Virtuora TCのイメージ(富士通提供)
Virtuora TCは、すべての通信データをフルワイヤキャプチャしながら、蓄積したデータから必要な情報を高速に検索することでネットワーク障害の原因を早期に究明できるという。蓄積した膨大なデータを完全に証跡管理して活用することでサイバー攻撃を検証することも可能と説明。同製品は富士通研究所の通信データを蓄積しながら高速検索する技術を適用している。
同ソフトウェアは、通信データをセションごとにまとめてディスクに書き込むことでディスクへのアクセス回数を減らすとともに、ほかの処理を待たずにデータを処理する。これにより、10Gbps(上りと下りで合計20Gbps)の回線に流れる通信データをリアルタイムにキャプチャして蓄積し、蓄積時にセションごとにインデックスを生成することで大量な通信データの中から目的のデータを数秒から数十秒で検索できるという。
システムを止めずにデータ保存サーバを増設でき、蓄積を継続しながら最大702Tバイトまで蓄積容量を拡張できる。これは、10Gbpsの回線で上りと下りの合計20Gbpsのネットワークで常に最大のスピードでデータが流れた場合に約3日分を蓄積できる容量となる。
クラウドサービスの利用が進み、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)時代の到来でネットワークに流れるデータは多様化している。サービスも高度に伴い、ネットワークサービスの品質維持と新しいニーズへの素早い対応が求められているが、これに対応するために開発と運用が一体となり、サービスの企画、開発から導入、運用までのライフサイクルを回すネットワークDevOpsが注目されていると説明する。
Virtuora TCを適用することで、仮想ネットワークの変化で影響を受けるサービスの範囲を特定しながら、継続的に分析、サービスを改善でき、分析結果をサービスの企画開発への入力とすることで、DevOpsのライフサイクルを早く回し、新しいサービスを迅速に提供できるとしている。
Virtuora TCの税別価格は同V01 メディアパックが2万円、同基本ソフトウェアライセンス V01が600万円、同データ保存サーバ1追加ライセンスが40万円。