IDC Japanは6月15日、国内中堅中小企業IT市場の2015年~2019年の市場予測を発表した。
それによると、2015年の国内中堅中小企業IT市場においては、消費税増税による個人消費の減退、円安による原材料価格高騰などの影響によって業績が悪化する企業の増加、および前年のPCの更新需要の反動もあり、市場規模は3兆7368億円で前年比マイナス1.0%と、マイナス成長を予測している。
2015年の国内中堅中小企業IT市場は、業績が減速する企業が増えていることに加えて、前年までのWindows XPサポート終了に伴うPC更新需要の反動もあり、IT支出は減少傾向となっている。
一方で、中堅企業および一部の中小企業では堅調な業績を維持している企業もあり、既存システムの刷新、新規システム開発などのIT支出を積極的に推進している。
同社では2016年以降、多くの中堅中小企業で業績が改善し、IT支出も回復すると見込んでいる。また、既存システム刷新だけにとどまらず、モビリティ、クラウド、ビジネスアナリティクスを活用した戦略的な目的でのIT活用も増えるとみている。
2015年は東京都のみプラス、2016年以降も大都市圏以外は「最低限のIT支出」
地域別でみると、東京都を中心とした大都市圏とその他の地域で大きな差異が生じている。2015年も前年に引き続き多くの地域でIT支出はマイナス成長との予測だが、東京都のみはプラス成長を見込んでいる。
また、2016年以降、関東地方(東京都を除く)、東京都、東海地方、近畿地方では堅調なIT支出を見込んでおり、情報システムへの展開も増えるとみている。その一方で、他の地域ではプラス成長に回復するものの低い成長率を予測しており、最低限のIT支出にとどまる企業が多いとみている。
国内中堅中小企業IT市場 前年比成長率予測:地域別、2014年~2019年
(IDC提供)
地域差は拡大へ
ITベンダーは、地域の状況を考慮したソリューション戦略がさらに重要になり、こうした地域差はIT支出動向にとどまらず、クラウド、モバイル、ソーシャル技術、ビッグデータといった「第3のプラットフォーム」ソリューションの利用状況においても差が生じているという。
同社ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は、「ITベンダーは、地域によってソリューション戦略を適合させる必要があるが、特に『第3のプラットフォーム』を活用して効率的かつ効果的な提供を図ることが重要」と分析している。