風土づくりにおいて同社ならではのキーワードといえるのが「質問責任」だ。これは「会社や仕事について疑問や不満があれば、酒場でグチらず、自発的に質問することを責務にしている。質問すれば会社として必ずオープンに議論して問題の解決を図る」(青野氏)との意味だ。この言葉に同社の風土づくりの姿勢が端的に表れている。
「こうしたツールの活用、制度の導入、風土づくりについては、ばらばらに取り組むのではなく、うまくかみ合わせながら適用していくのが重要だ。そうすればワークスタイルの変革を成し遂げることができると確信している」と青野氏。
既成概念にとらわれず、自らの経験をもとに自分たちで考え、トライ&エラーを繰り返しながら自分たちの会社をつくり上げていく。サイボウズの経営スタイルに学ぶべき点はいろいろとありそうだ。
「“パターン・デプロイメント”はフランチャイズチェーン店の展開に似ている」 (日本IBM 小島賢二 アプリケーションプラットフォーム・テクニカルセールス部長)
日本IBM アプリケーションプラットフォーム・テクニカルセールス部長 小島賢二氏
日本IBMが先ごろ、ソフトウェアの新製品「IBM PureApplication Software V2.1」を提供開始すると発表した。小島氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新製品の技術の要となる「パターン・デプロイメント」について説明したものである。
新製品は、システム環境の構築、運用を自動化することによって、企業におけるアプリケーションの短期導入やハイブリッドクラウド利用を支援するのが目的だ。2012年4月に垂直統合型システムとして発表した「IBM PureApplication System」のソフトウェア技術を抜き出した格好で、VMwareなどの既存の仮想化環境や、IBMがクラウド分野で提携関係にあるマイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」でも利用できるようにした。
新製品の詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここではパターン・デプロイメントに関する小島氏の説明に注目したい。
パターン・デプロイメントとは、ソフトウェアの共通項目などをまとめてパターンとして標準化し、そのパターンから「仮想システム」を自動構築して迅速に展開を図ろうというものである。
これによって、アプリケーション環境の構築と管理の簡素化を実現できるとしている。IBMの既存のソフトウェアやパートナー企業のソフトウェアをパターンという新しいパッケージングの概念のもとで再整備したものといえる。
小島氏は冒頭の発言における意図について、「例えばハンバーガーのフランチャイズチェーン展開に当てはめると、仮想システムはハンバーガーそのものだが、お店でそれをお客様に販売するためには、仕入れの仕組みやPR、接客の仕方、陳列方法などさまざまなノウハウが必要になる。フランチャイズチェーンではそれらをパターン化して展開を広げている。その意味では、IBMのパターン・デプロイメントも同じ発想に基づいたものといえる」と説明した。
IBMではPureApplication Systemの投入以来、全社を挙げてのソフトウェアのパターン化に取り組んでおり、現時点で220を超えるパターンを取りそろえているという。さらにこのパターンで注目されるのは、これを一度作成すると、オンプレミスでもオフプレミスでもシームレスにハイブリッド利用が可能なことだ。
その意味では、クラウド時代をにらんだ「ソフトウェアのあり方」を提案したものといえる。果たして世界に大きく広がる「フランチャイズチェーン」になるか、注目しておきたい。