米Dellは6月29日と30日、ドイツ・ベルリンで女性起業家向けの年次イベント「Dell Women’s Entrepreneur Network(DWEN)」を開催した。IBM、GMなど大手企業で女性最高経営責任者(CEO)が登場しているが、起業の世界では女性は少数派。ベンチャーキャピタルの投資総額のうち女性起業家への投資はわずか4%にとどまる。DWENはこれまでネットワーク作りが中心だったが、6回目となる今年は社会・経済構造へ目を向け、政策レベルでのフォーカスと若い世代からの取り組みの必要性がテーマとなった。
起業家は雇用・経済に貢献する--国連に働きかけるDell
DellのEIRを務めるElizabeth Gore氏
2月にDellの客員起業家(EIR)に着任したElizabeth Gore氏は29日、世界から集まった150人以上の女性起業家を「人道主義者だ」と称えた。新しいアイデアと新しいビジネスを生み出す起業家は、雇用を生み出し、経済に貢献する「人(People)、地球(Planet)、利益(Profit)と3つで貢献するグローバルな救い主だ」とGore氏。
一方で、事業を拡大するとなると税、移民、資本へのアクセスなど、規制面での障害があることも指摘した。「今後10年で6億人分の新しい雇用が必要といわれている。ここで重要な役割を果たすのが起業家。新しい雇用の70~90%がSMBからうまれている」とGore氏。
Gore氏はDellのEIRの前には国連財団(United Nations Foundation)でEIRを務めており、DellのCEOで創業者(起業家)でもあるMichael Dell氏は、2014年に同財団初のGlobal Advocate for Entrepreneurshipに任命されている。Dell氏はこの肩書きの下、国連が各プログラムを支援するにあたっての課題解決に、イノベーションや技術を利用するアプローチを推進する取り組みを進める。
国連は2000年に開始したGoal 8(ミレニアム開発目標)の達成期限が今年となっており、9月には今後15年の優先課題を決定する投票が行われる。そこでDell氏はDWENに合わせ、雇用創出と起業家の支援を優先課題に入れるべく、EntrepreneursUNiteという電子署名を開始した。Gore氏は会場の女性起業家に向かって、「ムーブメントを作ろう」として、起業を国連レベルでの取り組み課題とすべくこの活動への参加を呼びかけた。