前回は、大きく以下の3点に触れた。
- インドネシアは人口2億4000万人を抱え、経済発展に伴ってインドネシア国内の消費活動が活発になっており日本企業にとっても魅力的な進出先であること
- インドネシアの消費者の中でも、年収が3500ドルを超える“Consuming Class”と呼ばれる購買力のある消費層の規模が拡大していること
- さらに、Consuming Classの中にも所得格差があり、それが顧客間の購買行動の違いを生んでいるが、それに加えて、大小の島々で国が構成されている、異なる人種が集まっている、イスラム教人口が多い、といったインドネシア特有の要素が相まって、消費者理解を難しくしている(より消費者がモザイク化している)
今回は、インドネシアで成功している企業がインドネシアのConsuming Classの消費者をどのようにとらえビジネスを展開してるかを、具体例を交え紹介する。今回は消費財業界を題材にみていきたい。
消費財というと非常に範囲が広いが一般的には、飲料、食品、日用品などがこのカテゴリに入る。インドネシアではグローバル企業であるUnileverやDanone、Coca-Colaに加えて、現地企業(Teh Botol Sosro、Indofood、Wings、GarudaFood)、さらに日系のユニ・チャーム、花王、大塚製薬などもよく知られた存在だ。
インドネシアの消費財市場では、インスタント食品が市場規模の5割弱を占め、平均成長率10%で伸びている。 飲料市場では、主流は今でもジャスミンティベースの甘い紅茶だが、フルーツフレーバーのお茶や、緑茶、シュガーレスティーや、ウーロン茶も販売されている。
これらの背景にあるのは経済成長だ。インドネシアの目覚ましい経済成長に伴い所得水準が大きく向上し、それに伴いライフスタイルが変わることで、消費者はより利便性を求めて手軽な食品を好むようになり、また健康志向も高まっている。
さらに、消費が嗜好品へとシフトする中、化粧品は数より質ということで販売数量より単価の伸びが大きくなっており、消費者はよりプレミアムな価格帯の商品を購入し始めている。
しかしながら、当然それらの商品間では成功しているケースとそうでないケースがある。商品力そのものの差もさることながら、商品を認知させられるか、そして実際に商品が手に入る状態を作れるかで大きな差が出るからだ。