まず、インドネシアの消費者には、商品のブランディングが非常に重要で、ブランド認知をされた商品でないとなかなか買わないどころか試しもしない一方、ブランドスイッチ(購入する製品・サービスの乗り換え)が容易であるという特徴がある。アクセンチュアの調査でも東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でインドネシアの消費者が最もブランドスイッチをするという結果が出ている。

図1 ブランドスイッチ(購入する製品・サービスの乗り換え)がもたらす収益の国別試算。インドネシアはASEAN諸国の中でトップ(accenture global consumer pulse research 2013)
このブランドスイッチ現象においては、インターネットの普及が大きな役割を果たしている。現在の消費者はインターネットにつながることでさまざまな情報に簡単にアクセスすることができ、他者の意見がいつでも、どこでも、誰からでも、誰を介してでも入ってくる。
もともとインドネシアの人にとって、購買の意思決定において口コミは重要な要素だ。インターネットによってさらに他者の意見にアクセスがしやすくなり、結果インターネットが普及する前よりもブランドスイッチが起きやすくなっている。特に単価の低い消費財は、消費者の乗り換えが起きやすい。
裏を返せば、オンライン媒体は商品の認知促進において強力な手段だ。アクセンチュアの調査も、いかにインドネシアの消費者がオンライン媒体を活用しているかを裏付けている。
- Facebookの利用人数が世界第4位
- 2億8000万人が携帯電話端末を利用(インドネシアの人口にほぼ匹敵)
- インドネシアの消費者は、81%が各社のSNSサイトで商品やサービスの情報を獲得し、55%が各社のSNSサイトでコミュニケーションを図っている
- 3人に1人のインドネシアの消費者はウェブ上で自分が受けた顧客体験についてネガティブな投稿やコメントを残す
インドネシアでは日本よりも格安でスマートフォンが購入でき、インターネットにも接続できる。全体の9割以上がプリペイドユーザーで、電話番号が変わってでもよりよい条件を求める人たちは多い。
また、モバイル通信事業者各社の激しい価格競争による低価格化によって、所得が3500ドルに満たないような人たちでもスマートフォンを持ってインターネットを活用することができる。
例えば日本の消費者が各社のSNSサイトで直接コミュニケーションを図っている割合は25%でインドネシアの半分以下となっており、インドネシアの消費者のほうがより活発にSNSを活用して情報を獲得している。