米国時間7月13日、Microsoftの最高経営責任者(CEO)を務めるSatya Nadella氏は、「Worldwide Partner Conference 2015」で1万4000人以上の再販業者やインテグレーター、そのほかのMicrosoftパートナーを前に基調講演を行った。演壇を後にして間もなく、同氏は舞台裏の控え室で筆者との30分間のインタビューに応じてくれた。
Nadella氏は年次カンファレンスに登場するほんの数日前、同氏にとっては最も新しい「困難な決断」を下して、Microsoftの2016会計年度のスタートを切った。Nadella氏は8日、Microsoftが7800人の従業員を解雇することを発表した。その大半は、ハードウェアおよびデバイス部門の従業員だ。同社は今後も「Lumia」スマートフォンを、ローエンド、フラッグシップ、法人向けの各分野に最大2機種ずつ毎年投入し続ける計画だと報じられている。しかし、多くのMicrosoftウォッチャーは8日の動きについて、Microsoftが「Windows Phone」を断念し、モバイル市場をライバルに譲ることを意味すると解釈した。
筆者はNadella氏に対し、スマートフォン/モバイル市場で今後も競争していくための計画、Microsoftの拡張現実(AR)技術「HoloLens」に対する期待、提携計画(特に、Microsoftにとって長年の強敵であるGoogleとの提携)について尋ねた。
明確な表現と適度な長さにまとめるため、発言を編集した。
--壇上から降りてきたばかりですが、パートナーが今朝の基調講演を聴いて、どのような印象を抱いていればよいとお考えですか。
これは本心から言うのですが、Microsoftが下す決断、実行するさまざまなこと、そのやり方について、私は当社が使命を重視する企業になることを望んでいます。なぜなら、特定の目標を特定の技術や自分の使命と一緒にしたり、混同したりしてはいけない、というのが私の学んだ教訓だからです。
私が1992年にMicrosoftに入社したとき、当社の目標はPCをすべての家庭とすべてのデスクの上に普及させることでした。そして、われわれはそれを達成しました。企業はどんな技術の枠組みよりも、どんな野心的な目標よりも、長く存続しなければなりません。したがって、私にとってこれは、Bill(Gates氏)を「BASIC」コンパイラやインタプリタの構築に駆り立てたものや、生産性を生み出すため、あるいはクライアントサーバコンピューティングを大衆化するためにわれわれがやったことへの回帰を意味します。
そこで、私はこのエンパワーメントという概念に回帰するのです。世界に存在する3つの大規模なエコシステムについて考えると、両方(消費者と法人)をターゲットにしているのは、われわれだけです。自分たちの経済モデルにおける取り組みから、われわれは基本的に、あくまでも顧客の製品なのだと強調することに注力しています。それは学期末レポートを書く学生かもしれないし、自社で生産性を差別化しようとする大企業かもしれません。そのいずれも当社がエコシステムとして重要だと考えているものです。そしてそれが、われわれが採用する選択肢や参加する市場、そのやり方を決める根拠となっているのです。