3つめは、新しいIoTソリューションを開発し管理すること。IBMのプラットフォーム分野での事例としては、ボートレースのSilverHook Powerboatsがボートやパイロットにセンサを取り付け、ボートの位置データやバイロットの身体データをリアルタイムに視聴者に提供することでエンゲージメントを強化したケースを紹介した。
4つめは、モノ同士をつなげること。IBMのデバイス分野の事例として、Texas Instrumentsが提供するIoTデバイスをIBMのIoTソリューションに暗号化された環境で安全に接続できる仕組みを構築したことを挙げた。

日本IBM 研究開発担当執行役員 久世和資氏
日本企業はどう取り組むべきか
日本IBMの研究開発担当執行役員の久世和資氏は「Tokyo Labには1000人強の研究員が所属しており、IoT事業の中でも重要なミッションを担っている」と説明。Tokyo LabがこれまでSmarter Planetのソリューション、コグニティブコンピューティング、アナリティクス、クラウド&ソフトウェアプラットフォーム、システム&テクノロジの5つの領域で実績を持ち、それらを生かしたIoTソリューション開発に取り組むとした。
「IoTは日本の経済全体への影響も大きい。Tokyo Labでは、つながるクルマ(Connected Vehicles)の開発をリードしていくことになった。これは、クルマだけがつながるのではなく、クルマとドライバー、ドライバーとスマートデバイス、スマートデバイスと健康器具、信号、渋滞情報といったように、あらゆるものがつながってくるという意味。いろいろな業界が関係する中で日本の産業の力にもなる」(久世氏)

日本IBM IoT事業開発室長 村澤賢一氏
IoT事業推進室室長の村澤賢一氏は、IoTが持つ意味を狭義と広義にわけて、その両方での取り組みを進めると説明した。狭義のIoTでは、製造現場でのプロセスやオペレーションの改善、機器の保守や保全などが適用分野だ。
「製造業の現場を中心に、運用と管理を徹底的に強化していく。IoTへの取り組みを強化することは“塩梅を見る”といった言葉に表される日本の伝統的な職人の世界にも通じる。日本の製造業の知恵、知見を学び、世界に、後世に伝承していくという夢も持っている」(村澤氏)
一方、広義のIoTは、ヒトとモノがつながった世界を作る取り組みを指す。つながるクルマがサービスや利用者につながっていくように、企業のさまざまな活動が、サービスの利用者、顧客につながっていくような世界をつくるためにソリューションやサービスを提供していくという。