大木豊成「Apple法人ユースの取説」

情シスは「おまわりさん」のようであれ - (page 3)

大木豊成

2015-08-25 07:00

情報システム部門の評価制度が課題

 社内で「情シスが云々」と批判することは簡単だが、ではどうすれば情シスが動きやすくなり、社内に役立つ情シスになるのだろうか。

 一番大きい問題は、情シスが忙しい、忙しくしていなければ評価されない、というところにある。一昔前は、情シスではなくとも、なんとなく社内をブラブラしているおじさんがいて、普段は何をやっているのかわからないけれど、何か困ったことがあれば、そのおじさんに相談すると、社内のいろいろな人を紹介してくれ、いち早く課題解決につなげることができた。

 しかし、バブル崩壊時以降、社内で「何をしているのか分からない人」の存在を認めない風潮が加速してきた。特に「評価制度」を厳しくした企業が多く、情シスといえども忙しくしていないといけないような空気を作ってきた企業が多いようだ。

 著者があちこちの顧客企業に説いて回っているのは、「情シスはおまわりさんのようであればいい」ということだ。つまり、おまわりさん、特に交番勤務の駐在さんが忙しいということは、事件や事故があちこちで起きている、とても良くない状態だ。我々から見て、「おまわりさんが暇そうだ」というのが一番いい状態なのだ。


 しかし、情シスのメンバーが、必要かどうかも分からないExcelを加工して四苦八苦していたり、何をやっているか分からないけれど忙しそうにしているというのは、そうしていないと評価されないところに問題がある。

 その評価制度を変え、社内に役立つIT提案、これからの時代のモバイル戦略を提案していくことを評価すれば、きっと面倒くさい情シスではなくなるはずなのだ。

 著者の顧客企業の中には、情シスを解体し、経営企画部門の下に置いて人数を大幅に減らした企業がある。これからの情シスは、そうなっていくべきなのか、あるいは人数は変わらず、社内に役立つ情シスになっていくのか。どちらを選択するのも、その企業の経営方針ではあるが、現場として動けることはまだまだあるのではないだろうか。

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