林氏 これからはソフトウェアが中心になります。ソフトウェアを中心にデータセンターからネットワーク、ストレージまで、いろいろなものを横断的に見られる知識、目線が重要になります。そういった人材育成をしていかなくてはいけないと思いました。
佐藤氏 抽象的ですが、最初は標準化をさらに厳密にした方がいいのかなと思います。標準化ができればクラウドに移行しやすくなると思います。そうなればハイブリッドクラウドも普及していくでしょう。そうなれば、クラウドの典型的なニーズとしてオペレーションコストが下がってきます。IT部門としては、余力が生まれる可能性があるわけです。その余力で、ハイブリッドでもモバイルでも新しいITを活用してビジネスに貢献することに注力していただければ、日本のITもマーケットとして面白くなってくると思います。
NTTコミュニケーションズ クラウドエバンジェリスト 林雅之氏 事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開 発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事
逆説的に言ってしまえば、ITの方は日々のメンテナンスがものすごく大変です。そこを、クラウドの移行を契機として、自分のワークロードを新しいビジネスに貢献できるようなITのワークロードに変えることができるのではないかと思います。
各務氏 では実体験をもとに情シスの技術者とCIOのお話をします。まず情シスにいらっしゃる方は実習的(ハンズオン)であるべきと思います。もうひとつは、グローバル化に対応しなければなりません。グローバル化は英語ができるというだけでなく、ITに伝えるために物事をクリティカルに説明できることが大事だと思います。これがないとグローバルに生き残っていけないと思います。
CIOの方は、IT部門を事業部という観点で独立採算性にして、売り込みもCIOがやるようにすべきだと思います。そのくらいコスト意識が低いので、ROI(投資対効果)だけでなくROA(総資本利益率)――ROAは、今のアセットを不良債権じゃないかっていうのを人、機械、ソフトウェアを全部棚卸しして――CIOが責任を持つというところまでやらないと、欧米に負けてしまうと思います。
巨勢氏 先ほど佐藤さんがおっしゃったように、ITはもともとビジネスを支援するための戦略的なツールだったと思います。でも過去10年20年と、陽の光を浴びない世界だったように思います。ただ、ITを利活用して一気に大きくなってるような企業があるという状況を見ると、やはりITをいかに戦略的なツールとしてビジネスに直結させられるかを考えられるエンジニアは必要になってくると思います。
それと、クラウド化によって国境がなくなると思います。Microsoftが開発されているようなテクノロジが進行すれば、言語は何でもいいですし。そういう状況が、どこかで来るであろうというような察知能力をベースに、日本のエンジニアもグローバリゼーションを意識して、新しいテクノロジや新しいビジネスの形態を習得していくべきでないかと思います。