ワークスタイル変革がもたらす可能性を模索せよ--サイボウズ青野氏 - (page 4)

阿久津良和

2015-11-14 08:15

対面開発は迅速・柔軟、でも疲れる

 3つ目のトークセッションテーマは「新しいSI」。現在でも多くの場面でウォーターフォールモデルが用いられ、モデルから脱却のかけ声は上がっても実践する企業は少ない。

 SI業界では下請けや丸投げといった多くの問題を抱えているが、この問題に真っ向から対抗した"ハイスピードSI"を提唱するアールスリーインスティテュート マネージャーの金春利幸氏を招いて、その理由を聞いた。


アールスリーインスティテュート マネージャーの金春利幸氏

 青野氏が起業の理由を聞くと、「前の職場で頻繁に起こっていた多重下請け構造に疑問を持ち、顧客に向き合わないと良いものが作れないと感じていた。そこで顧客の顔を見てシステムを作る"対面開発"が可能な会社を興した」と金春氏は説明する。

 具体的には「kintoneでシステム開発を行うスタッフは、顧客と一緒にデータ構造を決めて、その場で触れるシステムを顧客に示している」という。金春氏は、対面開発は紙の仕様書で話を詰めていくよりも、スピーディかつ応用性の利くシステム開発であることを強調した。だが、2時間前後のワンセッションで、仕様の大半を決定するため「顧客にも覚悟を求めてしまうし、われわれも疲れ切ってしまう」と苦笑いした。

 "変化に対する覚悟"という質問対して金春氏は、「(SIerと顧客が)お互いにリスクを取る必要がある。古い開発システムと比べると仕様書など不要な部分を取り除きながら、メリットとデメリットを両社が持ちながら『互いに変わっていこう』という姿勢が大事だ」と述べた。

ITを使えば健常者も障がい者も違いはない

 そして最後に「障がい者の自立を支援するIT」というテーマで仙拓 代表取締役社長の佐藤仙務氏をゲストに招いた。佐藤氏は脊髄性筋萎縮症という重度の障がいを持っていたが、同じ難病を抱える幼なじみとともにウェブ制作会社を2011年に起業。現在青野氏が使用する名刺も同社が制作したという。

 佐藤氏は起業した理由として「障がい者が就職できる場所が見当たらず、最終手段として起業という道を選んだ。障がい者というと悪い意味で注目されることが少なくないが、品質の高い商品と顧客の信頼を得るため努力している」と語る。無責任な批判に対しては「心が折れそうになるが、会社の方向性など大きなヒントが隠れていることが多いため、そのヒント探しに注力する」と強い意志を示した。


仙拓 代表取締役社長の佐藤仙務氏(中央)。マイクを持つのは佐藤氏の母親

 現在仙拓は、佐藤氏を含めて4人のスタッフで運営されており、全員が障がいを抱えているという。「(障がいは)身体的に不利ながらも、PCを使えば障がい者も健常者も違いはない。障がい者雇用問題は複雑だが、自社を障がい者の居場所になるよう努力していく。障がい者が関われる多様性を持った社会になると嬉しい」と、障がい者雇用促進法に躊躇する経営者に所願していた。

 最後に青野氏はマハトマ・ガンディーの「死ぬほどの覚悟ができていれば、人は自由に生きられる」という言葉を引用し、「自分の人生に不自由さを感じているのは、もしかして状況ではなく自分の覚悟かもしれない。社会を変える武器"クラウド"を活用して、一緒に社会を変えよう」と基調講演を締めくくった。

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