ワークスタイル変革がもたらす可能性を模索せよ--サイボウズ青野氏 - (page 2)

阿久津良和

2015-11-14 08:15

 田中氏との対談を終えると青野氏は、同社事業の近況説明として、「中核をなすクラウド製品が好調であること」、「2015年中にクラウド製品を90回、オンプレミス製品を40回リリースしたこと」を強調。さらに自身の周りからリクエストを受けて開発した「サイボウズLive TIMELINE」を紹介し、広く使ってほしいと紹介した。

 ウェブデータベース型の業務アプリを開発するクラウドサービス「kintone」の今年度の売り上げは、期初の1月から10月までで前年度比26%増加したという。その他にもNPO支援プログラムの開始や、国内の営業所やカスタマーセンターの新設、グローバル販売チームの拡大など、事業の順調さをアピールした。

 基調講演の後半は、ゲストを招いてワークスタイルに欠かせないテーマに関するトークセッションを実施した。

残業ではなく社外に成長機会を見出そう

 1つ目のテーマは「長時間労働」。ここでは冒頭に青野氏が自身のワークスタイルを紹介し、「長時間労働という悪習慣を企業は手放さなければならない」と大上段に語りつつも、「自分も(以前は)長時間労働が大好きで、深夜はもちろん早朝からスケジュールで埋めていた。だが、子どもが生まれたことをきっかけに16時には退社する『4時まで社長』を始めた」という。

 そこで気付いたのが「来た仕事は片っ端から撃ち落とす」スタイルで働いていた自分の姿だった。青野氏は「ピンポイントで狙い撃つ」スタイルへ移行する上で、社長にとって狙うポイントは「意思決定と価値観の浸透」だと気付いたそうだ。会社の外の学んだ情報を会社内に役立てるなど、「4時まで社長」の経験は「社長としてレベルアップにつながった」と語る。

 この価値観を10年前から実践してきたのが、ゲストとして登壇したワーク・ライフバランス 代表取締役社長の小室淑恵氏だ。小室氏は内閣府「子ども・子育て会議」委員など複数の公務を兼任しながら、コンサルティング事業や休業者職場復帰支援事業を行う同社を経営している。

 小室氏は、以前の会社内ベンチャーで育児休業者の復帰支援を行う業務を行っていたところ、「ほとんどの職場で(復帰者は)退職してしまっており、復帰できたとしても職場が長時間労働システムを採用しているため仕事を続けられないことに気付いた」と語る。そこでワーク・ライフバランスでは、残業ゼロと有休消化100%パーセントを実践。それでも、2006年7月の設立から9年間増収増益を実現しているという。


株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長の小室淑恵氏

 小室氏の発言で興味を引くのが「人口ボーナス期」というキーワードだ。自社の若い社員から「自分が成長する(残業)時間を与えてくれない」という意見を受けた小室氏は、先のキーワードを使って「1990年代までの人口ボーナス期の成長パターンが現在の日本では使えないため、高付加価値ビジネス型のアプローチが必要」と、社会構造を説明したという。

 その結果「日常生産性を高めるには会社外で学ぶしかない」と厳しい発言をせざるを得なかったが、それは青野氏の「4時まで社長」と共通の結論に至るのが興味深い。

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