セールスフォース・ドットコムが業種別ソリューション推進の強化に向け、新たなパートナーシッププログラムをスタートさせた。その狙いについて筆者なりに探ってみたい。
「企業のITプラットフォームは今後、従来のように業務の効率化を図るだけでなく、顧客との接点を強化してビジネスを拡大していく役割が一層求められるようになる」
セールスフォースが新たなパートナー施策を展開
米Salesforce.comの業種別ソリューション事業担当エグゼクティブバイスプレジデントであるJohn Wookey氏は、日本法人のセールスフォース・ドットコムが先頃開いた業種別ソリューション推進のための新たなパートナーシッププログラム「Salesforce Fullforce」の国内提供開始の発表会見でこう語った。
同氏はさらに、「これからはあらゆる企業において、顧客との接点を強化したITプラットフォームによって経営変革を進めていく必要がある。当社はそうした企業の取り組みを、各業種に精通したパートナーとともに強力に支援していきたい」と強調した。
記者会見に臨む米Salesforce.com業種別ソリューション事業担当エグゼクティブバイスプレジデントのJohn Wookey氏(右)とセールスフォース・ドットコム執行役員アライアンス本部 副本部長の手島主税氏
また、Wookey氏に続いて説明に立ったセールスフォース・ドットコム執行役員アライアンス本部 副本部長の手島主税氏はSalesforce Fullforceについて、「当社はこれまでも多くのパートナーとの協業によって多数の業種別アプリケーションをAppexchangeという仕組みのもとで提供してきたが、新たなプログラムでは各業種に精通したパートナーとともに、特にエンタープライズクラスの企業が経営変革を進めるために必要な業種別ソリューションを、コンサルティングをはじめとしたプロフェショナルサービスも合わせて提供していく」と語った。
Salesforce Fullforceの詳しい内容や、今回第一弾として新プログラムのパートナーとなったコンサルティング各社の業種別ソリューションについては関連記事を参照いただくとして、ここではセールスフォースがこうした新施策を進める狙いについて、筆者なりに探ってみたい。
新施策はSAPとOracleの“牙城”を切り崩すか
ちなみにSalesforce Fullforceは、グローバルでは2年ほど前から展開しており、すでに43種の業種別ソリューションが整備されているという。したがって、同社のグローバルでの施策としてとらえて考えてみたい。
新たなプログラムの狙いは、Wookey氏および手島氏が語ったように、顧客との接点を強化したITプラットフォームによって経営変革を進める企業に対し、セールスフォースのクラウドプラットフォームとパートナーの業種別ソリューションによって支援することにある。
とりわけエンタープライズクラスの企業を対象に、コンサルティングも含めた業種別のきめ細かいソリューションによって「経営変革の支援」まで踏み込んでいるのが最大のポイントだろう。