同社は現在、Enterprise Cloudを世界11カ国/14拠点のデータセンターからサービス提供しており、クラウド基盤サービスとしてAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureにも対抗しうる存在になりつつある。その意味でも注目されるのは、サービスそのものの“商品力”もさることながら、パートナーエコシステムをどう拡充していくかだ。
同社が展開する「パートナーソリューションプログラム」には120社を超えるパートナー企業が参加しているが、今後エコシテムとしてAWSなどに対応しうるパワーを発揮していけるかどうか。今回のヴイエムウェアとの協業強化もその一環といえそうだ。
「新クラウドサービスをもう少し早く投入すればよかった」 (IIJ 勝栄二郎 代表取締役社長)
IIJの勝栄二郎 代表取締役社長
インターネットイニシアティブ(IIJ)が先ごろ、2015年度上期(2015年4~9月)決算発表の中でクラウドサービス事業の進展について説明した。勝氏の冒頭の発言は、その会見で、11月に提供開始した新クラウドサービス「IIJ GIOインフラストラクチャP2」(IIJ GIO P2)について強い手応えを得ていることから、思わず本音が飛び出したものである。
IIJのクラウドサービス事業における売上高は、2015年度上期で68億2000万円と、前年同期に比べて17.4%増と好調に推移した。顧客数も2015年9月末で1340社と、1年前に比べて100社増加した。今回の決算にはまだ上乗せされていないが、今年7月に発表し11月末からサービスを提供開始したIIJ GIO P2の引き合いは100件を超え、中には月額数千万円規模の案件もあるという。2015年度通期の売上高では、前期比22%増の150億円を目標としている。
こうした状況について勝氏は、「企業のIT投資が好調に推移していることもあり、クラウドサービスの売上高はコンスタントに伸びている。さらに新サービスのIIJ GIO P2が好調な出だしを見せており、今後の業績向上に大きく寄与すると期待している」と、強い手応えを感じている様子。
そこで思わず「ちょっと反省しているのは…」と言いながら口を突いて出たのが冒頭の発言だった。すぐさま「ただ、これまでの積み重ねがあっての新サービスなので」と自らフォローしたが、願望としての本音がチラリと出たといったところか。
IIJはこれまでクラウドサービスとして、オンラインで手軽に導入できる「IIJ GIOホスティングパッケージサービス」と、多様なITリソースを組み合わせてシステムを構成できるオーダーメイド型の「IIJ GIOコンポーネントサービス」を提供してきた。IIJ GIO P2はこの2つのサービスを進化させ、より信頼性・処理性能を高めたパブリッククラウドと、オンライン申し込みで即時利用を可能にしたプライベートクラウドを1つに融合したサービスとして仕立て上げたものだ。同社ではその最新の顧客利用動向などについて、近々あらためて公表するとしている。