本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NTTコミュニケーションズの田中基夫 取締役と、IIJの勝栄二郎 代表取締役社長の発言を紹介する。
「クラウドネイティブな最新技術を取り入れたICT基盤をグローバルに提供したい」 (NTTコミュニケーションズ 田中基夫 取締役)
NTTコミュニケーションズの田中基夫 取締役
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が先ごろ、ヴイエムウェアと共同で記者会見を行い、次世代の企業向けクラウドプラットフォームの提供に向けて協業を強化したと発表した。NTT Comでクラウドサービス事業を担当する田中氏の冒頭の発言は、その会見で、今回の取り組みに向けた意気込みを示したものである。
両社は今回、協業を強化した内容として、「両社の技術とサービスを組み合わせたクラウドネイティブプラットフォームの実現」「NTT ComのクラウドサービスであるEnterprise Cloud上での新しい製品・サービス化の検討」「両社による開発コミュニティの支援」の3つを挙げている。(関連記事参照)
最大のポイントは、ヴイエムウェアが現在開発中の「VMware Photon Platform」および「VMware vSphere Integrated Containers」と呼ぶ最新技術を、NTT Comがいち早く自社のクラウドサービスに取り入れることを明らかにした点だ。
VMware Photon Platformはクラウドネイティブアプリケーションの大規模展開を可能にする専用基盤、VMware vSphere Integrated Containersは既存のエンタープライズアプリケーションとともにコンテナ型アプリケーションも稼働させることができるようにする技術だという。
ちなみに、クラウドネイティブアプリケーションとは、クラウド利用を前提としたアプリケーションのことである。これに対し、企業内システム向けに開発された従来型アプリケーションをクラウド上で動作させたものをクラウドイネーブルドアプリケーションと呼ぶ。ヴイエムウェアがこれまで提供してきた仮想化技術である「vSphere」は、クラウドイネーブルドアプリケーション向けのプラットフォームである。
NTT Comはこれまで、クラウドイネーブルドアプリケーションに対応したホステッドプライベートクラウドサービスのEnterprise Cloudと、クラウドネイティブアプリケーションに対応したパブリッククラウドサービス「Cloudn」を提供してきた。田中氏によると、この12月中にこれらを一体化させた「Enterprise Cloud 2.0」を投入する計画だ。今回のヴイエムウェアとの協業強化による新たな取り組みは、この新サービス以降をにらんだものである。