CIOが「DMP」を理解すれば「攻めのIT」を実現できる - (page 3)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2015-12-22 16:02

――なぜCIOや情報システム部にDMPの知識が必要なのか。

 知識自体はお持ちです。ただ、それがバズワードにとどまっており、具体的なアウトプット(効果)として何が実現できるのかというイメージを持つには至っていません。というのも、その効果をなぜテクノロジ上で実現できるのかという理由も含めて説明できるマーケティングサイドの人材がまだまだ少ないのが実状だからです。

――DMPを情報システム部に説明した際の反応は。

 情報システム部門の中でもCIOに対しては、この領域もしっかり理解していかないといけないという啓発も含めて、もう少し論点を絞った形でお話しするパターンが多いです。今、日本でのCMOの設置率は数%と言われていますが、CIOが少し拡大して最高デジタル責任者(Chief Digital Officer:CDO)のような形で権限を持ってくるというようなパターンも最近は多いと認識しています。

 そして、CIOの問題意識は高まってきていると思います。業務効率化やコスト削減に加えて、ビジネスの成長に貢献し、戦略的なIT投資を増やすように言われているCIOの方が結構多くいらっしゃるという印象です。プライベートDMPは、まさにこの領域にダイレクトに関わってくる部分といえます。

――導入事例はあるか。

 すでに欧米では、いくつかのグローバル企業をご支援させていただいています。既存顧客/潜在顧客それぞれに対して、オンライン/オフライン横断でどのように訴求していくかといった戦略策定から、それに向けたデータ統合、具体施策の実行に向けたロードマップの策定、さらにその統合実現を支援しています。

 オンラインだけでなく店舗などのオフラインも含めた統合効果計測モデル・プロセスを構築した結果、より正確な成果を把握できるようになり、既存顧客からの新規申込が増えただけではなく、新規顧客からの成約率が数倍に高まったという事例も出てきています。DMPによって顧客のターゲティング精度を格段に向上させています。

――DMPを導入する上で、必要となるプロジェクト体制とは。

 プロジェクトメンバーには2つのスキルセットが求められます。

  1. 現状の社内システムの全体像を理解し、既存システムの移行・再構築を実行できるITスキル
  2. ツールから得られるデータを活用して顧客のカスタマージャーニーを理解し、その理解に基づいたシナリオを設計できる能力

 また、導入プロジェクト全体を管理するプロジェクトマネージャーには、それぞれのスキルセットに関する最低限の知識と、2つの異なる要素を融合させて、価値を最大化させるプロジェクト管理能力が求められます。こうした人材を社内で調達できることは少ないので、外部パートナーと連携するのも手段の一つだと考えます。

 さらに、この取り組みの主体は、状況に応じてCIOもしくはCMOが考えられますが、いずれの場合にもCIOとCMOの間でゴールや目的/KPI/予算をすり合わせ連携していくことがポイントになります。

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