展望2020年のIT企業

中国人民元で稼げるIT企業に

田中克己

2015-12-30 07:30

 「中国の人民元で稼げる会社にする」。インターネットインフラ運用などを展開するクララオンラインの家本賢太郎社長は、中国などアジア市場の開拓に一段と力を注いでいる。アジアと他地域との取引に貢献する“クロスボーダー”のプレーヤーを目指し、海外売り上げ比率を今の約2割から5割超に増やす計画を立てる。

クロスボーダーを目指すクララオンライン

 1997年に当時15歳だった家本社長が設立したクララオンラインは、中小企業向けサーバーホスティング事業から始めた。2010年には同事業を売却し、企業向けのクラウドなどを活用したインフラやシステムの構築・運用へとシフトする。「クラウドもホスティングもコモディティ化し、アセットで差別化するのはできなくなる」(同)からだ。

 確かに、社員100人規模の中小IT企業が、米Amazon Web Servicesや米Microsoftなど資本力のある大手クラウド事業者と真っ向から勝負するのは難しいだろう。「クラウド事業者の強み、弱みなどが分かる」(家本社長)といった経験や技術力を活かし、顧客ごとに最適なクラウドを選定するほうが賢明である。

 だが、そんな事業を手がけるクラウドインテグレーターは次々に生まれている。何らかの特長がなければ、生き残れない。「日本市場以外での強みを持たないと将来性はない」と考えた家本社長は「クロスボーダーでのクラウド運用にある」とし、2004年に手始めに台湾に進出する。ここを足がかりに中国に、さらにシンガポール、韓国などへと広げている。

 提供するサービス内容も、日系企業の現地工場向けインターネットインフラの構築、運用からECサイトの立ち上げ、携帯電話向けモバイルゲームへとシフトする。ただし、ECサイトは決済方法や物流の仕組みなどの商習慣の違いなどから、成功した事例は少ないという。「利益を確保しているのは2、3件しかないだろう」(家本社長)。

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