未来へのマイルストーン--2015年のAI、ロボット、IoT関連政策を振り返る - (page 2)

林 雅之

2015-12-31 08:23

社会課題の解決や新産業の創出に向けた「ロボット新戦略」

 ロボット政策において、社会課題の解決や新産業の創出に向けて、内閣官房は1月、「第6回ロボット革命実現会議」を開催し、「『ロボット新戦略』(ロボット革命実現会議とりまとめ)」を公表した。

 ロボット革命の実現に向けて、ロボットの次世代技術開発や規制制度改革をはじめとするアクションプラン(5カ年計画)を策定し、ロボット新戦略に基づき、ものづくりやサービス、介護・医療、インフラ・災害対応・建設、農林水産、食料産業分野での普及を推進する。


出所 ロボット新戦略 2015年1月

 ロボット新戦略では、2020年までに政府と民間企業で1000億円をロボット開発に投資し、市場規模を現在の6000億円の4倍となる2兆4000億円まで成長させていく目標を掲げている。

 政府が議論したロボット革命実現会議の議論や成果を踏まえて、ロボットイノベーションの拠点として、5月には産官学による「ロボット革命イニシアティブ協議会」を設置した。ロボット革命イニシアティブ協議会は以下の3つを目指し、そのための組織的プラットフォームとしての役割を担う。


ロボット革命イニシアティブ協議会
  1. 世界のロボットイノベーション拠点としての日本、ロボット創出力の抜本的強化
  2. 世界一のロボット利活用社会
  3. IoT 時代の到来を見据えたロボット新時代への世界の中でのイニシアティブの発揮

 本協議会では各WGを設置し、「IoTによる製造ビジネス変革WG」では、IoTやビッグデータなどの活用による製造業ビジネスの変革に関わる検討。「ロボット利活用推進WG」では、介護、医療、インフラ、災害対応、建設、農林水産などの利活用を検討。「ロボットイノベーションWG」では、次世代に向けた技術開発などの検討を進める。

 世界に向けて、ロボットショーケース化した日本を発信する場として、2020年に「ロボットオリンピック(仮称)」を開催する。「ロボットオリンピック(仮称)」は、単にロボット技術を競う競技会とは位置付けず、医療や介護、農業など、さまざまな社会問題をロボットがどのように解決していけるのか、競技を通じてロボットを身近に感じて考えてもらう場をつくり、ロボットの普及を進めていく。

 ロボット革命イニシアティブ協議会が中心となって検討を進め、2015年中に実行委員会を発足し、2016年までに具体的な開催形式・競技種目を決定し、2018年にプレ大会を開催、2020年の本大会へとつなげていくことを計画している。

 政府は6月、「『日本再興戦略』改訂2015-未来への投資・生産性革命-」を閣議決定した。本戦略には「ロボットによる新たな産業革命」も掲げ、2020年までの中核となるプロジェクト「改革2020」では、「先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現」など6つのプロジェクトを進める。「ユニバーサル未来社会の実現」のプロジェクトでは、3地域を選定し、「ロボット技術によるユニバーサル未来社会体験プロジェクト」として、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催期間にショーケース化して具体的な成果を示す予定だ。

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