このような事前登録型の決済では、特定の1枚のカードに使用額が集中していくことになる。従来、日本では流通系のカードなどにおいてポイントサービスなどを起点に、個人が多数のクレジットカードを併用するような習慣が見られていた。そのような状態から、「メインカード」としてのマインドシェアをいかに獲得するかが、従来以上に重要な観点となる。
まとめ
キャッシュレス化、シームレス化という2つの技術的な軸が金融機関にさらされる中で、重要となるのは金融機関がユーザーにとって、いかに中期的に役に立つプラットフォームとして機能し得るか、という点である。
そのための手段として、現状のFintechにおいては大企業とベンチャーの協業など他社の強みと自社の強みを融合させて製品やサービスを開発する「オープンイノベーション」が取り上げられることが多いが、自社の内製で生まれるイノベーションもあれば、協業によって生まれる価値もある。個別のメリットをそれぞれ追及しながら、自社の最終顧客が何を求めているのかについて、傾聴と先回りが重要になっていくものと考えられる。