Fintechの正体

実体化するFintech(後編)--金融機関の選別に向かう2017年 - (page 3)

瀧 俊雄

2016-02-08 07:30

 このような事前登録型の決済では、特定の1枚のカードに使用額が集中していくことになる。従来、日本では流通系のカードなどにおいてポイントサービスなどを起点に、個人が多数のクレジットカードを併用するような習慣が見られていた。そのような状態から、「メインカード」としてのマインドシェアをいかに獲得するかが、従来以上に重要な観点となる。

まとめ

 キャッシュレス化、シームレス化という2つの技術的な軸が金融機関にさらされる中で、重要となるのは金融機関がユーザーにとって、いかに中期的に役に立つプラットフォームとして機能し得るか、という点である。

 そのための手段として、現状のFintechにおいては大企業とベンチャーの協業など他社の強みと自社の強みを融合させて製品やサービスを開発する「オープンイノベーション」が取り上げられることが多いが、自社の内製で生まれるイノベーションもあれば、協業によって生まれる価値もある。個別のメリットをそれぞれ追及しながら、自社の最終顧客が何を求めているのかについて、傾聴と先回りが重要になっていくものと考えられる。

瀧 俊雄
取締役 兼 Fintech研究所長
1981年東京都生まれ。 慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村證券入社。野村資本市場研究所にて、家計行動、年金制度、金融機関ビジネスモデル等の研究業務に従事。スタンフォード大学経営大学院、野村ホールディングスの企画部門を経て、2012年よりマネーフォワードの設立に参画。自動家計簿サービスアプリ「マネーフォワード」と、会計や給与計算、請求書発行などのバックオフィス業務向けアプリ「MFクラウド」シリーズを展開している。

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