――インソースへの移行が終わった後、取り組んでいることは何か?技術トレンドの変遷が激しい中で、適用する、しないの判断は?
CIOにはとても良い時代だと思います。モバイル、クラウド、非構造化データ、アイデンティティ、IoTの5つのトレンドがあり、これに注目しています。
例えば、モバイルはデバイスそのものではなく、デバイスで何ができるのかが重要です。航空券の予約から業務までさまざまなアプリがそろっています。また、非構造化データは企業の意思決定の重要な要因となっています。
ウェブ上で打ったマーケティングキャンペーンに対し、ほぼリアルタイムでフィードバックが得られるなど、自社や自社製品ついて消費者が何を考えているのかが瞬時にわかるからです。アイデンティティ(ID)では、プロフェッショナルなIDとパーソナルのIDの融合が進みつつあります。
このように5つのトレンドが融合し、その間をデータが流れています。ファイアウォールの内と外、あるクラウドから別のクラウドへ、あるいはモバイルへ、モバイルからIoTとデータがやりとりされており、CIOの仕事はこのデータの安全性を確保することです。
これまではファイアウォールの内側にあるアプリケーションが守備範囲でしたが、かつてないほどにダイナミックになり、CIOはビジネス運用を直接支えるようになりました。経営に参加して「Cレベル」の幹部たちと変化を起こすチャンスがあります。
ある航空会社のCIOは自分たちを技術企業だと言います。先進的なCIOは自社を技術企業と考えており、セキュリティを含め技術が自社に果たす役割が重要になっていることを認識しています。もちろん、Symantecも技術企業です。
――5つのトレンドはSymantecの戦略にどのように反映していくのか?
Symantecには大きなチャンスです。データがあちこちにあり、これを保護するソリューションを提供します。
戦略として、先にユニファイドセキュリティ戦略を発表しました。これまでセキュリティ業界は分断されており、顧客は特定の問題を解決するポイントソリューションを導入しています。この数は大手の場合、60種、80種とも言われています。
Symantecはまったく新しいアプローチをとります。アーキテクチャ全体に対応するセキュリティで、ユニファイドセキュリティ分析プラットフォームを土台に、情報保護と脅威保護があり、全体をカバーするサイバーセキュリティサービスを提供します。
ユニファイドセキュリティ分析プラットフォームはグローバルインテリジェンス、機械学習、行動分析などの技術を含むもので、時間の経過とともにスマートになります。サービスはモニタリング、シュミレーション、インシデント対応などがあり、これらにより会社にある全てのデータをスマートに保護します。分断されたセキュリティではなく、全体的なアプローチでオンプレミスとクラウドの両方に対応していきます。
――Cisco Systemsなど、これまでセキュリティベンダーのカテゴリに入らなかったベンダーもセキュリティを強化しており、境界があいまいになりつつある。Symantecを選ぶ理由は?
セキュリティは実に複雑で大きな課題です。Veritas分離により、100パーセントセキュリティに焦点を当てられるようになりました。研究開発でもこの効果が出てくるでしょう。われわれは有機的に製品開発を通じて成長することも、買収によって拡大することもできます。
Symantecの強みは大きく2つあります。ITプロフェッショナルやCIOは統合にかかるコストを嫌います。コストの理由が不明確な上、作業負荷が掛かるからです。われわれのユニファイドセキュリティなら、統合されたソリューションを得られます。
企業には時間の経過とともにたくさんのものが積み上がっていきます。われわれ自身が企業分割で学んだことです。これは複雑性の増加を意味し、リスク増大につながります。複雑性を排除し、アプリケーションの数を減らし、インフラのフットプリントを削減してITを簡素化すれば、管理性が高まり、安全性も改善します。