同氏はさらに、このIntel Securityによるセキュリティ対策のPDCAの考え方が、「日本政府の方針とも整合性が取れている」とも語った。それは、経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が共同で策定して2015年12月28日に発表した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」のことを指している。
同ガイドラインでは重要なポイントとして、「サイバー攻撃を経営リスクとしてとらえ、対策を継続して実施していくこと」や「事案は起きるものと認識し、事前対策だけでなく事後対応にも備えること」が掲げられている。これらの内容がまさしくIntel Securityによるセキュリティ対策のPDCAの考え方と同様だというのが、Broido氏の「整合性」発言の根拠である。
会見後、Broido氏に「上手いメッセージの出し方ですね」と声をかけたところ、笑顔で軽く頷いたのが印象的だった。同社の今後の具体的な取り組みに注目しておきたい。
「クラウド利用はまずPaaSから始めるべき」 (米Gartner Anne Thomas ガートナーリサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリスト)

米GartnerのAnne Thomas ガートナーリサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリスト
ガートナージャパンが先ごろ、プライベートイベント「ガートナー エンタープライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット 2016」を開催した。Thomas氏の冒頭の発言は、「賢いPaaS選択」と題したそのイベントでの講演で、PaaS利用における見解を述べたものである。
Thomas氏はPaaSから始めるべきだという理由について、「PaaSから始めておくと、例えばSaaSのアプリケーションを拡張したりカスタマイズしたりするときにスムーズに作業が行える。また、IaaSから始めたとしてもその上でアプリケーションを構築しなければならず、結局はPaaSが必要になる。そうした効率性を考えると、まずはPaaSから始めるのが得策だ」と語った。
同氏はさらにPaaS利用のメリットについて、「アプリケーション開発者の生産性を向上させるとともに、運用の負荷を低減できる。また、常に最先端のITを活用できるのも魅力だ」と説明。そのうえで「2018年までにエンタープライズアプリケーションの25%がPaaSへ移行する」とのGartnerの予測も披露した。
PaaSを含めたクラウドモデルの選択肢については図を示しながら、PaaSとIaaSには機能要素の違いによってそれぞれ2種類あると語った。この図で最も重要なのは、ホスティングからSaaSまで機能要素ごとに「コンシューマー(ユーザー企業)の管理下」なのか「プロバイダーの管理下」なのかを明示している点である。
ちなみに、ホスティングについてはクラウドではないものの、ユーザー企業が選んだ機能要素をデータセンターで運用する役目はプロバイダーが担うことから、選択肢の1つとして図に盛り込んだようだ。

クラウドモデルの選択肢(出典:ガートナージャパンの資料)
その上で同氏はPaaSをテーマとしたGartnerの提言として、「適切なテクノロジとプロバイダーを選ぶためにも、まずはクラウド利用の目的を明確にする」「イノベーションと差別化を追求するならば、今すぐPaaSを採り入れよ」「PaaSプロバイダー1社または単一のサービスとの契約を固定化しない」といった点を強調した。
「まずはPaaSから始めよ」――同氏が講演の中で幾度もこう呼びかけていたのが印象的だった。