本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ウイングアーク1stの内野弘幸 代表取締役社長と、ベリタステクノロジーズの高井隆太 常務執行役員の発言を紹介する。
「IoTがもたらすデータを生かせるかどうかは経営次第」 (ウイングアーク1st 内野弘幸 代表取締役社長)
ウイングアーク1stの内野弘幸 代表取締役社長
ウイングアーク1stが先ごろ、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの最新版として、IoT(Internet of Things)データのリアルタイム分析を可能にした情報活用ダッシュボード「MotionBoard Ver.5.6」、およびレポーティング機能などを強化した集計、分析基盤「Dr.Sum EA Ver.4.2」を発表した。内野氏の冒頭の発言はその発表会見で、企業におけるIoT活用について経営主導の重要性を説いたものである。
MotionBoardは企業のシステム内に蓄積されたデータを可視化するBIツールで、同社が5年前から手掛けている戦略商品だ。その最新版であるVer.5.6では、さまざまな機器などから発生するデータをリアルタイムに処理し、即座に可視化できるようにしたのが最大の強化ポイントだ。さらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここではIoTをめぐる内野氏の発言を取り上げたい。
同氏はIoTについて、「BIツールを手掛けている私たちにとっては非常に大きなビジネスチャンス」と語る一方で、「経営の観点からさまざまな変化が起きるだろうという危機感を持っている」とも表現した。興味深いのは後者の発言だ。どういうことか。同氏は顧客との会話を通じて、そう思うようになったという。
「多くの企業経営者はIoTがもたらすデータを生かしたいと考えている。だが、それが果たして必ず競争優位につながるのか。競合他社もIoTデータを活用するようになれば、場合によっては自社がこれまで培ってきた競争優位を失ってしまう事態になりはしないか。IoTデータを活用することで、果たしてどのような変化が起きるのか。さまざまな変化が起きるだろうと予測されるが、そこの見通しがつかないだけに、経営者の間では見えない危機感も広がっているようだ」