4月29日、30日には、「G7香川・高松情報通信大臣会合」が開催され、IoTやAIなどの新たなICTの普及する社会における経済成長の推進やセキュリティの確保等について活発に議論された。
本会合の成果として、あらゆる人やモノがグローバルにつながる「デジタル連結世界」の実現に向けた基本理念や行動指針をとりまとめた「憲章」「共同宣言」および「協調行動集」(共同宣言の附属書)という3つの成果文書を採択し、G7による世界に対する統一のメッセージを発出している。
本会合において、日本政府は、AIネットワーク化が社会経済に与える影響の分析を国際機関も含めた連携を通じて実施し、AIの開発原則の議論へとつなげていくことを提案している。
AIネットワーク化が社会経済に与える影響の分析については、総務省のAIネットワーク化検討会議について報告された中間報告書「AIネットワーク化が拓く智連社会(WINS)--第四次産業革命を超えた社会に向けて」で議論された内容をもとに、提案されている。
本検討会議では、AIネットワークの進展により、「知」(Knowledge)から「智」(Wisdom)へと進化し、第4次産業革命を超えた社会「智連社会 (Wisdom Network Society)【WINS】」が形成されるとし、AIがAIネットワークシステムと共存し、データ・情報・知識を自由かつ安全に創造・流通・連結して智のネットワークを構築することにより、あらゆる分野にヒト・モノ・コト相互間の空間を超えた協調が進展し、創造的かつ活力ある発展が可能となる社会を目指すべき社会像としている。
出所:総務省 AIネットワーク化検討会議 中間報告書「AIネットワーク化が拓く智連社会(WINS)--第四次産業革命を超えた社会に向けて」2016.4
AIネットワーク化検討会議には、私自身も構成員として参加しているが、AIネットワーク化が社会・経済にもたらす影響やリスク、課題などについては、ビジネス現場においての実装においてのインパクトとその対応についても、十分な議論と対応が必要となるだろう。
経済産業省は4月27日、「産業構造審議会 新産業構造部会(第8回)」を開催し、2020年ごろまでに、名目GDPを2014年度比2割増の600兆円に高めるための「新産業構造ビジョン」の中間整理を公表した。
経済産業省では、IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどの技術の進展により、第四次産業革命が進展し、これに伴い、産業構造や就業構造が劇的に変わる可能性を示している。
就業構造の変化においては、AIやロボットなどを創り新たなビジネスのトレンドを創出する仕事を国内外から集積し、新たな雇用ニーズに対応するためAIやロボットなどを使って共に働く仕事拡大させるといった就業構造変革の姿(イメージ)を示している。
出所:経済産業省 「新産業構造ビジョン 中間整理」 2016.4
職業別の従業者数の変化(伸び率)を2015年度と2030年度で比較した場合、経営戦略策定担当、研究開発者などの上流工程では、現状放置では136万人減少するのに対し、「新産業構造ビジョン」による変革を進めた場合、経営・商品企画、マーケティング、R&D等、新たなビジネスを担う中核人材が96万人増加すると予測している。
一方、大衆飲食店の店員、コールセンターなどのサービス(高代替確率)では、現状放置では23万人増加するのに対し、変革の場合は、AI/ロボットによる効率化・自動化が進み、減少していくと予測しており、新たな成長分野への職業の雇用シフトが期待される。
出所:経済産業省 「新産業構造ビジョン」 中間整理 2016.4