PwCコンサルティングとレジュプレスは5月13日、ブロックチェーンを活用した企業間送金の実証実験を開始したと発表した。
レジュプレスは、元JPモルガン証券の2011年度新卒入社2人と、東京工業大学在学中に2度のハッカソン優勝経験を持つ学生1人の計3人で立ち上げたベンチャー企業で、国内最大規模のビットコイン取引所である「coincheck」を運営する。また、一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)を発足し、自主規制ルール策定を行うために行政と連携して活動している。
両社は今回、改ざんが起こりにくいと言われているブロックチェーンを活用して企業間の資金の流れの透明性を高め、また経理業務の効率化を図るための新規サービスを共同で開発していく。サービス領域として、まずは企業間の送金から着手し、受発注や納品へと段階的に発展させることを計画しているという。また経理業務の効率化に関しては、一定期間の債権、債務を相殺し、取引の手間と金額を最小化するネッティングや仮想通貨による送金を行う。
昨今、製造業を中心として海外進出に伴うサプライチェーンの拡張、複雑化が問題となっており、下請け会社が一次、二次と増えるに従い、資金の流れが見えにくくなり、資金回収の困難さや不正といったリスクにも直面している。こうした中、PwCとレジュプレスは、革新的な技術といわれるブロックチェーンを活用することで、そのような企業が抱える問題の解決を目指すという。
PwCはクライアントのビジネス要求を取りまとめ、レジュプレスはブロックチェーンによる開発を担当。実証実験では主に以下の3点を検証することを目的としている。
経理業務の効率化
ネッティングや請求書の電子化、請求項目の消し込みなどを通して、業務時間の削減を図る。また、仮想通貨による海外送金により為替手数料の削減を目指す。
なお、レジュプレスでは、米ドルを購入して送金する従来の海外送金方法の代わりに仮想通貨を用いて送金する場合、従来よりも送金金額を数%程度削減できると試算している(試算結果は利用する仮想通貨により異なる)。
セキュリティの検証
企業内のプライベートなネットワークではなく、公共のクラウド環境を使う場合の、資産や情報の流出に対するセキュリティの安全性を検証する。
仮想通貨の使用に対する企業の障壁
仮想通貨による送金を取り入れる際には、企業に重大な財務方針の転換が求められる。これに対しPwCが財務と法務の観点からリスクを評価し、経営陣に実行の承諾を得るために、どのようなステップを踏むのが最適かを検証する。