結局のところ、DellとEMCが進めようとしているのは、ハイブリッドクラウドの提供だ。VMwareやVirtustream、およびその他の部門では、パブリッククラウドサービスをいくつか提供している。しかし、現実的にはどうだろうか。Dell Technologiesは基本的に、パブリッククラウドとともにプライベートデータセンターを管理するためのバックエンド機器やソフトウェアを提供する企業になるはずだ。Dell Technologiesの主戦場はハイブリッドクラウドであり、これは発展中の成長市場だと言える。
問題なのは、ハイブリッドクラウドが、より多くのワークロードをパブリッククラウドに移行していくための、中間ステップである可能性が高いということだろう。議論が分かれるのは、その移行がどのようなタイムスパンで進むかだ。JMP SecuritiesのアナリストPatrick Walravens氏は、VMwareに関する調査ノートの中で、興味深いグラフを示している。このグラフは科学的なものではないが、従来型のITから、パブリッククラウドに趨勢が移りつつあることを示している。

提供:JMP Securities
VMwareの未来
最近のVMwareの決算の説明電話会議と決算内容は、同社が正しい方向に進んでいることを示している。VMwareの顧客ベースは揺るぎないものであり、企業にとって同社のソフトウェアは必要不可欠だ。またVMworldでは、VMwareが「OpenStack」や「Docker」のような新しいアーキテクチャと並んで、パブリッククラウド管理市場に一定の地歩を得たことが強調された。
一方で今後VMwareが、Dell Technologiesのトラッキングストック(事業部門株)としてどう運営されていくかは、まだ明らかではない。
まず、トラッキングストックには議決権がない。それに加え、VMwareのトラッキングストックの取引は割安になる。これらのウォール街の現実が、VMwareの人材獲得能力に影を落とす可能性があり、競合するスタートアップにとっては有利に働くかもしれない。
また、VMwareのエコシステムの問題がある。Dell Technologiesは、VMwareとパートナーシップを結んでいるサーバベンダーと競合関係にある。EMCは基本的にVMwareに不干渉であり、利害の衝突はなかった。顧客がVMwareに大きく投資している限り、すべてのサーバベンダーは競争しながら協力することになる。しかし、もしVMwareがまずい施策を打てば、パートナーシップは急速に解体されてしまう可能性がある。