システムの集約
横浜市では、マイナンバー制度施行によるセキュリティ強化を背景に、システムを集約する方針を打ち出している。
ハードウェアの選定では当初、サーバと共有ストレージ装置を組み合わせた構成を想定していたが、上記の課題にあるようにリソースの予測が困難であることなどから、特にストレージ装置の選定がネックとなったという。既存ストレージ装置に性能不足を感じていたため高性能な装置を求めていた一方、過剰な投資は避けなければならなかったのだ。
そこで浮上してきたのがHCIアプライアンス、具体的にはNutanixの製品だった。サーバとストレージを統合したアプライアンスのためスモールスタートが可能で、そのスケールアウト性能から小刻みな拡張がしやすく、拡張した分だけ容量や性能が増すという点が着目されたとのこと。
最終的に100V電源・1Uサーバ型のモデル「Nutanix Enterprise Cloud Platform NX-3175」が選択され、1月末頃から構築が開始された。基盤全体の構築を完了したのは3月末となった。第一段階として76台の物理サーバと共有ストレージをNX-3175(6ノード)に移行し、順次稼働を開始している。
Nutanixの導入により、以下のような効果が発揮されたという。
構築期間の短縮
Nutanix関連の構築作業は1週間ほどで完了しており、業務システムの移行作業やシステム動作検証に十分な時間を使えたという。
ストレージI/O性能の向上
従来のシステム基盤より格段に高速化され、OSやミドルウェアのインストールは想定の10分の1ほどの時間で終了したという。
ストレージ設計の容易さ
サーバとストレージが統合されているため、ストレージ設計関連のドキュメントも削減された。ストレージ周りの設計は「ほぼ不要」になったとのこと。
運用管理の効率化
サーバ、ストレージ、ネットワークの全てをソフトウェアで設定できるようになった。これにより、運用に携わる職員の負担も5分の1程度に削減される見通しという。
リソース有効活用
従来のシステム基盤では機器が複雑に組み合わさっていた上にサイロ化していたため、余剰のシステムリソースを有効活用する手段がなかった。
パフォーマンス向上
ストレージI/O性能もあり、ピーク時のパフォーマンスは従来の10倍以上になっているとのこと。
横浜市では、次年度にもさらなる基盤の更改を控えており、今回のNX-3175(6ノード)への集約から、2倍程度の規模まで拡張を想定している。Nutanixへ集約することで、これまで8ラック程度だった機材が削減され、最終的には3ラック程度になる見通しだという。