「SD-WAN」というキーワードについて、代表的な製品を取り上げ、利用シーンやメリットを具体的に詳しく解説していく連載の第1回、今回は後編です(前編)。
進化するSD-WANマーケット
2016年1月以降、北米での導入事例が広まるにつれ、日本国内のサービスプロバイダや大企業において「SD-WAN」への調査と導入検討が始まりました。しかしながら、ここで大きな問題が発生します。
前述したように「SD-WAN黎明期に導入成功した事例」は、インターネット回線のみを前提としていました。つまり、サービスプロバイダが提供するMPLS網や既存DCとの接続についてのノウハウが蓄積されていなかったのです。2016年前半に検討された大企業向けPoC(実環境における検証)のほとんどは、この課題にぶつかり、期待通りの結果を残せませんでした。

SD-WANの閉域網サポート=ハイブリッド WAN対応
こうした背景もあり、2016年中期以降、インターネットと閉域網の両方をサポートする環境である「ハイブリッドWAN(Hybrid WAN)」への対応がSD-WANマーケットの大きな課題となりました。2015年以前のSD-WANスタートアップ企業は、自社製品を機能拡張することでハイブリッドWANに対応しました。代表的なメーカーとして「Viptela社」「VeloCloud社」が挙げられます。
また、SD-WANが閉域網への接続ポイントを持ったことにより、一部のSDN製品がオプションとして、SD-WAN対応を開始しました。こちらの代表的なメーカーとして「Nuage Networks社(Nokia社が買収)」が挙げられます。
さらに、GUIベースのコントローラを持つルータ製品も、SD-WANマーケットに参入し始めており、代表的なメーカーとして「Cisco Systems社(WANルータ)」「Meraki社(Cisco Systems社が買収)」が挙げられます。
加えて、閉域WAN回線に対する最適化装置(WOC)なども「SD-WANマーケット」に登場し、この代表的なメーカーとして「Riverbed Technology社」が挙げられます。