技術を活用して社会課題を解決--NEC中央研究所

大河原克行

2016-12-19 07:00

 NECは、同社中央研究所における研究開発戦略について説明。同時に、予測分析自動化技術や脳型コンピューティングなどの新技術の発表も行った。

 同社では、「AI」「プラットフォーム」「セキュリティ」の3つの領域を研究開発の重点領域とし、「デジタル化が十分でない実世界において、NECの技術を活用して、社会課題を解決することを目指す」(NEC 西原基夫執行役員)とした。

 また、59件のグローバル共創実績を持ち、そのうち、インパクトがあり、産業および顧客をリードする「骨太ソリューション」が10件以上になったという。

 NEC中央研究所では、「将来技術ビジョン」、「No.1コア技術強化」、「骨太ソリューション領域集中」の3軸での競争優位の追及を掲げ、これを「将来技術ビジョン」、「グローバルR&D」、「オープンイノベーション」、「人材マネジメント」の各施策を推進する基本戦略を打ち出す。

西原基夫執行役員
NEC 西原基夫執行役員

 NEC 西原基夫執行役員は、「研究開発部門では、NECが打ち出している7つの社会ソリューション領域に向けて、価値の高いソリューションを絞り込み、ナンバーワンとオンリーワンの技術を徹底的に磨き、パートナーや顧客との共創を通じて、強いソリューションを創出していく」と述べた。

 将来技術ビジョンでは、2030年の社会課題と、技術予測から、バックスキャン方式で、NECの事業機会と注力技術を導出。2015年から議論を進めて導き出した「実世界を理解するセンシング」「人の知性をアシストするAI」「脳に倣うコンピューティング」「エッジに広がるクラウド」「IT、人、モノの全体のセキュリティ」の5つの技術進化軸から、研究開発を進めていく方針を示した。

 また、グローバルR&Dへの取り組みについては、2016年4月に大規模な組織再編を行い、オープンイノベーションの指令塔および技術ビジョン確立のリード役となる価値共創センターを新設。骨太ソリューション創出においては、先進顧客がいるシンガポールに設置したシンガポール研究所を強化している。今後、先進顧客が存在する地域へのソリューション分室や、イノベーションが起きる場所に設置する研究分室を世界各国に展開。

 また、セキュリティに特化したセキュリティ研究所を強化するほか、コア技術強化では、標準化や欧州プロジェクトを推進する欧州研究所、ディープラーニングなどのハイテク最先端の地を生かしたコア技術開発を行う北米研究所、技術領域ごとに再編した国内研究所の体制で取り組むことで、「最適な研究開発体制と、現地ニーズにあったソリューションを展開することができる」という。

 グローバルR&Dにおいては、社外連携も強化しており、各拠点の研究者がバーチャルチームを構成して研究活動を行うほか、大学との連携強化、スタートアップ企業への投資なども積極化させる姿勢も示した。

 「将来技術の早期取得のために、連携研究所を設置。強化領域に絞り込んで大きく投資をしていく。大学との共同研究では、2桁大きい投資を行っているほか、オープンイノベーション投資を3倍にしていく。さらに、スタートアップ企業への投資では、すでに実績があがっており、暗号化技術においては、3年かかる研究開発を1年で実現した。この成功モデルを全領域に拡大していくことになる」と語った。

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