ZDNet 典型的なユーザー企業の想定はあるのでしょうか。
宇佐美 基本的にはどのような業種もデータ量は増えていきますのでニーズは高まっていると思いますが、特に大きなビジネスチャンスがあるのは放送系でしょう。映像が4Kになっていますし、2020年には8Kが主流になり放送革命が起きるともいわれています。あとはオンラインンゲーム、医療、メディア・コンテンツ系、製造業なども注視しています。
津田 データセンター業界の各企業間でも競争や協力もあると思うのですが、宇佐美社長は今後どのような戦略を考えていますか。
宇佐美 一般的に競合と思われる企業とも、パートナーシップを組めると考えています。老朽化したデータセンター事業者の場合は、自社で保有するデータセンターが電力量や床耐荷重の問題で受注が難しい時に、また満床となっている場合にパートナーシップが成立します。
また、日本海側という立地から、DR(ディザスタリカバリ)やバックアップ目的のパートナーシップについても具体的な引き合いをもらっています。
SIerの方々との協業もできます。ポートフォリオにわれわれのデータセンターを加えてもうらう提案もできますし、要望に応じた基盤構築やサービス設計をしたり一緒に顧客を新規開拓したりといったこともできます。このあたりはスタートアップならではの強みですね。さらに、親会社であるメディックスのデータ分析部隊のノウハウもありますので、営業的なアライアンスとサービス開発的なアライアンスの両方に対応できます。
津田 さらに長期的な視点で、将来的な展開はいかがでしょうか。
宇佐美 データドックは最先端のデータセンター基盤と、データ分析・活用サービスの2つの方向性なのですが、これはとても大変なことです。というのも、エンジニアにとってこの2つは全く違う技術領域だからです。ただ、だからこそ価値があるのです。
インフラもアナリティクスも理解した上で顧客に最適な提案ができる、異なる2つの筋肉を持つ魅力的な会社にしたいですね。それにより、市場価値の高いエンジニアを輩出する先進的な会社として優秀な人材が集まり、新潟県にも貢献できると考えています。
また、今回は自社保有のデータセンターとなります。持たざる時代と言われますが、持つことでスピードアップすると思ったためです。ここでノウハウを溜め、今後は多拠点展開にも挑戦したいと考えます。その際は保有にこだわらず、寒冷地のデータセンターの立ち上げに関するサービス設計や営業、運用といったノウハウを提供できる会社になりたいですね。
さらに、地方への貢献も掲げていますので、地元の教育研究機関との協力体制によって地方創生のお手伝いをしたいと思っております。例えば、新潟県南魚沼市のグローバルITパークには、外国企業の日本進出拠点が集まっており国際大学とも連携しています。
また、データアナリスト学科を新設する大学も県内にあると伺っています。新潟はITに関して高い関心を持つ教育機関や自治体が多いので、ネットワークやIT基盤の提供そしてインターンの受け入れなどを通じて活性化に貢献したいです。