コミュニケーション基盤をCMSで--海外展開中の成長企業がウェブサイト刷新 - (page 2)

日川佳三 怒賀新也 (編集部)

2017-01-05 07:00

情報共有/コミュニケーション基盤としてCMSを活用

 SXPの利点の1つは、個々のグループ企業の担当者など誰もが簡単にコンテンツを作成し、公開できること。コンテンツとデザインが分離しているため、ユーザーはデザインを意識することなく、コンテンツの生成に専念できる。UIを多言語化していることから、グローバル展開も容易だ。

 各担当者が自前で情報を発信できるという特徴を生かし、グループウエアのようなコミュニケーション基盤としてCMSを使う考えだ。各グループ会社が主体的にサイトを更新できる領域を作っておくことで、説明したいことや発信したいことを直ちに公開し、全世界のグループ企業のウェブサイトに反映されるようにする。

 ウェブサイトのコンテンツを更新する際のワークフローを設定することにより、従業員同士やグループ企業間でコミュニケーションが発生する。つまり、ウェブサイトを更新すればするほど、お互いの距離も縮まる。「CMSはコミュニケーションツールとして成り立つ」(真鍋氏)

 「現代では、グループウエアと言うと、会議の部屋を予約したりファイルを共有したりするシステムと見られている。私は、ウェブサイトの更新管理とグループウエアは統合できると考えている。社内グループウエアを使っていると、いつの間にか情報の一部がウェブサイトに公開されているという感覚だ」(真鍋氏)

 「グループウエアとCMSを分ける必要があるのだろうか。Skypeやメールなどの既存ツールではなく、従業員同士がもっと近くなる手段として、CMSが利用できるのではないか」と真鍋氏は力説する。結果的に情報共有のために利用しているそれぞれのサーバが減ることによって、コスト削減効果も見込める。

社員と投資家が本当に知りたい情報だけを発信する

 ウェブサイトではコンテンツが何よりも重要と真鍋氏は言う。「感性が同じ人を呼び込む。ニッチだけど、人によっては本当の価値のあるコミュニケーションが取れる場所、こうしたウェブサイトを目指す。万人に喜ばれることを目指すようなマーケティングをするつもりはない」(真鍋氏)

 最も好ましくないウェブサイトの例として真鍋氏は、個々のグループ会社のウェブサイトがそれぞれ独立していてコンテンツが連携していない状況を想定している。「ページの下のほうに小さく『アウトソーシンググループ』と書いてあるだけのウェブサイトを想像してほしい。これだと、どこかに買われて今はそのグループになってます、ということしか伝えていない。アウトソーシンググループのことが分かるコンテンツにしなければいけない」(真鍋氏)

 自社の株価や世界の情勢といった、ニュースサイトのような情報も載せていく。「これらは普通に知りたいことだ。現在ではYahoo! JAPANなどをウェブブラウザのトップページに設定している人が多いが、アウトソーシンググループをトップページに設定しても知りたいことが分かるようにしたい」(真鍋氏)

 グループウェアやCMSに関する従来の枠組みで考えると多少の違和感もあるが、長い間基幹システムの構築などに携わってきた真鍋氏が、そこに確かなイメージを持っているのも事実としてある。実運用開始後の効果などが気になるところだ。

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