さらに遠藤会長は、「物流情報管理プラットフォームの構築においては、いかに、コミュニケーションネットワークを確立できるのか、データの収集を一元化できるのかといったことが重要になってくる。また、パンデミックであることをどう判断し、それをどのタイミングで、サプライチェーンとコネクションするのかといったことも大切である。これまでにNECが蓄積した物流のサプライチェーンに関する知見を活用することができるが、人道支援の領域において、効果を最大化するために何度かトライアルを行いながら、完成度を高めていく」とした。
緊急人道支援物資在庫などの見える化を、第1フェーズと位置づけ、2017年夏を目標に完成させる計画だという。また、AIやIoTを活用した予測機能などの実装は、第2フェーズでの取り組みになるという。
また、物流情報管理プラットフォームの運用を行うのは国連WFPとなり、パンデミックが発生した際には、現地で医療物資の管理などに利用するのに必要なパッケージを、国連WFPの物流網を通じて提供することなる。
国連WFPのアーサリン・カズン事務局長
国連WFPのアーサリン・カズン事務局長は、「地球規模感染症は、世界経済にも甚大な影響を与えると予測されており、全世界で3億6000万人が死亡することや、世界のGDPの10%が無くなるとの予測も出ている。エボラ出血熱以外にも、国境を越えて流行する感染症が多数発生するなか、世界的流行(パンデミック)を早期に封じ込める施策の確立は急務となっている。
そのためには、医療品の迅速な供給が効果的であることがわかっているが、それを実現するためには様々な課題があることも認識している。現在、人道支援においては、エンド・トゥ・エンドのサプライチェーンが存在しておらず、NECとともにこれに解決しようと考えている。日本政府がこれに100万ドルの拠出金を用意してくれたことにも感謝したい。全体での開発予算規模は、760万ドルである。進捗は順調であり、今後は、シミュレーションを行いながら、必要な地域に対してツールを提供して、実際に危機が発生したときに効果を発揮できるようにしたい。この取り組みが最大規模の官民連携になる」などとした。