デジタル人事の時代

働き方改革としての“チャット”--業務時間の可視化が組織を変える - (page 4)

田中公康 島村麻衣

2017-04-24 07:00

成功要因は「体感」「リーダーのけん引」「実証実験アプローチ」

 今回紹介した事例のように、SMACを利用して早期に生産性向上の効果につなげていくためには、下記3つのポイントを押さえておくことが重要である。

 ポイント① まず体感

 従来のBPRやシステム導入のように、使い方の検討やトレーニングに時間を費やすのではなく、まずツールの利便性を体感することに重きを置く。各ツールは非常に便利に作られているため、それを体感した利用者は、新たなツールを積極的に利用したいという欲求を抱き、短期間でのツール利用の定着化につなげられるのである。

 ポイント② 現場リーダーのけん引

 現場のリーダー自らが新たなツールを率先して利用し、メンバーの利用を促す。利用開始時は一時的に負荷が高まったように感じるが、ツールはUXに優れており1週間程度で利用に慣れるため、ツールを恐れる必要はない。

 ポイント③実証実験アプローチ

 ただツールを配布するのではなく、実業務に即した利用法を小集団で検証した上で、広範囲へツール利用を展開する。この、「実証実験アプローチ」により、業務での使い方まで含めて展開し、“ツールは導入したが実際は活用されない”という問題の発生を防ぎ、効果の創出を実現できる。


3つの成功要因を押さえることが、短期間での生産性向上のためのポイントである

結び

 冒頭にも述べたが、働き方改革の機運は日に日に高まっており、生産性向上の実現は日本企業にとって待ったなしの課題である。更に、刻一刻と変化するビジネス環境に身を置く各企業には、従来のような熟考型の施策のみでなく、SMAC技術を利用し短期間で生産性向上を実現できる施策の実行が求めらている。

 次回は引き続き、実際にSMAC技術を活用して人事データを分析する際の考え方やその取り組みの事例を紹介したい。

田中公康(デロイト トーマツ コンサルティング シニアマネジャー)
外資系コンサルティングファーム、IT系ベンチャー設立を経て現職。直近では『デジタル人事』領域のリーダーとして、生産性向上に向けたワークスタイル変革やIT活用支援、クラウド基盤やゲーミフィケーション理論・スマートデバイスを活用した健康経営推進支援などのプロジェクトを多数手がけている。『ワークスタイル変革』(共著、労務行政)他、執筆・講演多数。
島村麻衣(デロイト トーマツ コンサルティング ヒューマンキャピタルユニットコンサルタント)
事業会社、総合コンサルティングファームを経て現職。大手製造業を中心に、業務改革、基幹システム導入支援のサービスに従事。 直近では、「デジタル人事」領域の推進メンバーとして、デジタルツールを活用した生産性向上支援や、ワークスタイルに関する調査等のプロジェクトに参画している。

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