--ロボットの動いた軌跡など、データはかなり蓄積されていますよね。
すでにリモートアクセスでサポートをしています。顧客のところで問題があったときに、コントローラの番号さえわかれば、こちらから見て操作ができます。顧客が望めばログも全部取れます。
まだ新製品なので顧客もリスクがあり、僕らの責任も大きいため無料で修理をしてきたことも多いのですが、最近は落ち着いてきたので保守の話も増えてきました。
--製品ではなくサービスを売っていく可能性もありますか。
両方です。蓄積された情報はお顧客にとっても有益ですよね。日本企業は工場が世界中にあるので、それを集中管理すれば僕らでも工場間でもサポートができるようになります。あとは、コマツのKOMTRAX(コムトラックス)のような予知保全も可能です。
どのくらい動いているかのデータをもとに、どこが故障しそうかわかるのです。そうやってお客さんの保守管理をしたり、情報をもらえるようにしていけば、何よりも強いです。
われわれのコントローラを使う理由が多方向にあるわけです。ただ、基本的にはロボットコントローラメーカーですし、谷のように深い分野なので、いろんなところには手を出さないつもりです。
--今後の展望は。
MUJINコントローラが世界中のロボットについている日が来るであろうという夢を持っています。「インテルインサイド」という言葉がありますが、ロボットなら「MUJINインサイド」にしたいのです。ロボットの市場をもっと広げたいと思っています。
ロボットがより汎用的・知能的になってもっと安く導入できるようになれば、エンドユーザーは嬉しいですよね。既存のロボットメーカーは、MUJINを使えば物流や食品など新しい分野に行ける。センサメーカーやモーターメーカーも売り上げが伸びる。新規ロボットメーカーも嬉しい。MUJINコントローラが現れることで、負ける人はいないんです。
このエコシステムを推進して世界中の自動化が進めば、生産性の向上つながります。MIJINにより工場がラインが自動化されれば、工場をデジタル化でき、IoTの取り組みも進むのではないでしょうか。
- 飯田樹(編集者/ライター)
- 国際基督教大学教養学部卒業、早稲田大学大学院政治学研究科修了(政治学修士)。西欧政治思想史、 現代政治理論を専攻。 株式会社マイナビにてニュースサイト「マイナビニュース」の編集記者、ウェブメディア運営企業などを経験。 各種媒体での取材・執筆・編集、冊子の編集、進行管理、校正、広報誌/広報サイトの編集、プレスリリース作成、 SNS運用などを手がける。分野は、働き方・キャリア、社会、マネー、教育など。