テクノロジとアカデミア、ビジネスの関係を解き明かすことをテーマに、「産」「学」「官」のさまざまな取り組みを紹介している本連載。第1回、第2回、第4回では「産」である大学との共同研究に取り組む企業に、第3回は「官」として産学連携の推進に取り組む経済産業省を取材してきた。
今回は「学」として、東京大学産学協創推進本部イノベーション推進部長で経営学博士の各務茂夫教授に、大学が産学連携に取り組む背景や、東京大学による取り組みを聞いた。
--東京大学では、いつから産学連携の活動をしていますか。
東京大学産学協創推進本部イノベーション推進部長で経営学博士の各務茂夫教授
産学連携の活動を大学が本格的に始めたのは、国立大学が法人化した2004年です。
国立大学法人法の第22条に「(従来の教育や研究だけではなく)当該国立大学における研究の成果を普及し、およびその活用を促進すること」という項目が、大学業務の柱の一つとして加わりました。
これが、産学連携の考え方のベースになっています。研究成果を普及・活用するということは、大学の研究成果から、何らかの形でイノベーションを生み出し、社会に貢献するということです。
ちなみに、私はイノベーションとは、「具体的な革新的製品・サービス」を生み出すことであると考えています。
--どのようなことを担当していますか。
私は、民間で15年ほど経営コンサルタントなどを経験した後に、2002年から東京大学の薬学部で教えていました。
2004年4月に「産学連携本部」(産学協創推進本部の前身)が発足し、薬学部から本部組織である産学連携本部に移り、組織名は2016年4月に「産学協創推進本部」に変わりましたが、産学連携の仕事に携わって、今年度で14年目になります。