玉川氏:株式会社ソラコムの玉川です。2年前にソラコムという会社を創業し、その前はAmazonのクラウドであるAWSの立ち上げに5年ほど取り組んでいました。当時から、IoTブームと相まって「AWSのクラウドにデータを上げたい、データをためていきたい」という顧客が多く、「IoT向けに特化した通信があまりない」という声も聞いていたので、会社を立ち上げ、IoT向けの通信を提供しています。
AWSはよく、「コンピューティングの民主化」と言われます。コンピューティングのリソースを誰にでも分け隔てなく、使いやすく提供するという意味での「民主化」です。われわれがやっているのはIoT通信の民主化だと考えていて、IoT向けの通信を手早く、使いやすく提供しています。2015年の9月にサービスを開始して以来、6000以上の顧客に使っていただき、300以上のパートナーにビジネスをサポートしていただいている状況です。具体的には、「SORACOM Air」という通信のカードと仕組みを提供していて、1日10円から従量課金で使えるようにしています。
ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
今取り組んでいることは、大きく分けて3つあります。1つ目は、サービスのブラッシュアップです。クラウド向け通信はまだまだ新しいので、セキュリティ面や開発のしやすさ、運用をもっと良くするために、顧客からのフィードバックをサービスや新機能として提供している状態で、現在は9つサービスを出しています。モバイルクラウドには展開の余地があるので、IoT通信の共通基盤をプラットフォームとして提供していきたいです。
2つ目は省電力広域(Low Power Wide Area:LPWA)ネットワーク規格のLoRaWANの展開です。今まではIoT通信と言っても、モバイル通信やセルラー通信を提供していたのですが、最近、LoRaWANを日本で一番最初に商用サービスとして展開しました。IoT通信の中で、セルラーでもLoRaでも同じように民主化していこうと、LoRaWANのデバイスもゲートウェイも、通信の仕組みもまとめて提供しています。
3つ目は、グローバル展開です。「日本発のグローバルプラットフォームを作りたい」「世界中のヒトとモノをつなげ、共鳴する社会」というビジョンを持って集まったメンバーのため、グローバル化しないと、ということで、2016年の末から2017年にかけて、米国、ヨーロッパでの発売をスタートしました。改めて思うのは、AWSのようなグローバルプラットフォームを使うと、日本の会社でもグローバル展開はしやすいということです。それはIoTでも非常に重要な点かと思います。